X-2 (航空機・アメリカ)

超音速実験機 X-2（スターバスター）

X-2は、アメリカ合衆国で開発された革新的な超音速実験機で、その愛称は「スターバスター」です。製造はベル社が担当しており、X-2の開発は空力学的特性や高度、速度、空力加熱の問題を解決するための重要なプロジェクトとして位置づけられました。1956年には、非公式ながらマッハ3に達する記録を達成しました。

歴史的背景

1945年10月、ベル社はドイツの技術を手に入れ、後退翼を装備した高速実験機の開発を開始しました。これがアメリカ陸軍航空軍の関心を引き、1945年12月にはXS-2という名前で、マッハ3.5、および高度約40,000メートルに関する研究に乗り出しました。 X-2の開発は、空力設計、制御システム、そして高温に耐える材料の研究を必要としたため、長期化しました。結果として、従来の航空機の限界を超える速度、高度、温度において新たな技術革新をもたらすことになりました。

特に、スロットル式ロケットモーターやデジタル飛行シミュレーション技術の導入は、アメリカの航空機開発において重要な役割を果たしました。

運用の歴史

X-2は、2機が製作されました。最初の試作機である2号機は、1950年11月に完成しました。しかし、空中母機の開発が遅れた影響で、1952年から滑空試験が始まりました。1953年5月には、2号機による初の動力飛行が計画されましたが、発進前に爆発事故が起き、試験機は失われました。この試験では搭乗したテストパイロットが命を落としました。一方、1号機は1955年に動力飛行を開始し、1956年には数々の速度と高度の記録を樹立しました。

1号機はフランク・エベレストの操縦で、1956年7月にマッハ2.87の速度を達成しました。また、9月7日にはアイヴン・キンチェローの操縦で高度38,376メートルに達しました。しかし、後のフライトである9月27日には、ミルバーン・アプトが操縦していた1号機がマッハ3.3を記録したものの、帰途中の旋回中に操縦不能になり、事故を引き起こしました。この結果、アプトは命を落としました。

全ての実験機が事故で失われたため、X-2のプロジェクトは終了となりました。

機体構造

X-2のデザインは、主翼と尾翼の両方が40度の後退角を持ち、耐熱性に優れた材料であるKモネル（ニッケルと銅の合金）が使用されていました。機体には脱出カプセルが装備されており、カーチス・ライト製のXLR25ロケットエンジンが1基搭載されています。このエンジンは液体酸素とアルコールを燃料とし、空中母機EB-50から投下されてから動力を発揮します。

特殊な脱出装置も備えられており、パイロットはカプセル脱出後にパラシュートで着地しなければなりませんでしたが、事故によりこのシステムの危険性が露見しました。

諸元

• - 全長: 11.53 m
• - 全幅: 9.83 m
• - 全高: 3.53 m
• - 翼面積: 24.19 m²
• - 自重: 5,610 kg
• - 全備重量: 11,280 kg
• - エンジン: カーチス・ライト XLR25-CW-1 / XLR25-CW-3 ロケットエンジン（推力：6,800 kg）
• - 最大到達速度: 3,369 km/h（マッハ3.196）
• - 最大到達高度: 38,376 m
• - 乗員数: 1名

X-2は、1952年から1956年にかけて、2機合計で20回の試験を行いました。1号機は1956年9月に墜落し、2号機は1953年に事故により失われました。現在、1号機のレプリカが航空博物館に保存されています。

以上がX-2（スターバスター）に関する詳細な情報です。

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