X-36 (航空機)

X-36の概要

X-36は、マクドネル・ダグラス（現在のボーイング）とNASAによって開発された特殊な無人戦闘機の機動研究機です。この機体は、次世代の戦闘機として期待される『アドヴァンスド・ファイター』計画の一環として製作されました。しかし、予算の制約から、フルスケールの試作機は造られず、実物の約28%のスケールである無人機のみが製作されました。

計画は1994年に始まり、1996年には最初の機体が完成しました。初飛行は1997年5月17日にテストパイロットのラリー・ウォーカーによって行われました。1997年11月に31回目の飛行試験が終了し、その後機体は国立アメリカ空軍博物館で展示されることになりました。

設計と技術

このX-36は、特にステルス性と高い機動性を兼ね備えた機体として設計されています。独特のエンテ型デザインを採用し、主翼にはクランクド・アロー翼を使用しています。また、前方にはカナード翼が装備されており、さらにはスプリット・エルロンやエレボンを組み合わせることで、優れた操縦能力を獲得しています。特筆すべきは、垂直尾翼が存在しないことで、機体の抵抗を低下させることに成功しています。

代替的な安定化手段として、ドラッグ・ラダーと先進的なデジタルフライ・バイ・ワイヤ（FBW）技術が用いられ、ピッチ及びヨー軸の安定を実現しています。推力制御メカニズムは横方向の動きの調整に使用され、操縦は地上に設置された仮想コックピットから行います。この際、ダミーキャノピーに取り付けられたカメラから得られる映像を基に操作が実行されます。

X-36はF/A-18よりも優れた機動性を持つとされており、テストフライト中には40度の迎角飛行に成功しています。このような高い性能が、今後の戦闘機開発における重要な研究成果をもたらしました。

仕様

• - 乗員: 無人
• - 全長: 5.55 m（19 ft）
• - 全高: 0.94 m（3 ft）
• - 翼幅: 3.15 m（10 ft）
• - 最大離陸重量: 567 kg（1,245 lb）
• - 使用エンジン: ウィリアムズ・インターナショナル F112 ターボファン × 1
• - 最大速度: 376 km/h（234 mph）
• - 実用上昇限度: 6,000 m（20,000 ft）
• - 推力重量比: 0.56

出演作品

X-36は、いくつかの作品にも登場しています。代表的なものには、ゲーム『エアフォースデルタ』や『ストライカーズ1999』、さらには『エースコンバット3 エレクトロスフィア』においてモデル機が登場します。これらの作品では、X-36の特性やデザインが反映されており、プレイヤーが操縦する機体として描かれています。

このように、X-36は軍事技術の最前線を行く研究機として、その機動性やステルス技術を追求する重要なマイルストーンとなりました。その成果は、後の戦闘機の設計や技術に影響を与え続けています。

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