X-55

X-55：家庭用通信カラオケの革新者

X-55（エックス・ゴーゴー）は、タイトーと京セラマルチメディアコーポレーションが共同で開発し、1995年12月に発売された家庭用通信カラオケ機です。本体の定価は64,800円（税別）で、家庭で手軽にカラオケを楽しむための画期的なデバイスとして位置づけられました。

先進的な通信カラオケ

X-55は、業務用通信カラオケ機「X-2000」の技術とノウハウを活かし、家庭向けに特別に設計された機種です。家庭のテレビに接続することで、電話回線を利用して専用のネットワーク「X-データネット」にアクセスし、カラオケが楽しめる仕組みとなっています。この製品は約20万台の販売実績を持ち、多くの家庭に受け入れられました。

本機の特徴は、カラオケ機能だけでなく、タイトー製ゲームの配信や、暮らしの情報を閲覧できる多機能性です。そのため、広告やカタログでは「家庭用マルチメディア通信カラオケ」や「メディアボックス」と呼ばれることもありました。このように、X-55は単なるカラオケ機器を超えたエンターテイメントのプラットフォームとなっていたのです。

使いやすい通信機能

X-55の通信速度は9,600bpsで、カラオケ1曲を受信するのに約数十秒の時間がかかりました。しかし、最大10曲までの予約が可能で、演奏中に他の曲を予約できるため、待機時間を気にせず楽しむことができました。1曲の演奏ごとに通信料が発生しますが、「十八番（おはこ）機能」を利用することで、自分の好きな曲を本体に保存し、追加費用なしで何度でも楽しむことができるという利点もありました。

系譜と進化

1996年には、通信速度が14,400bpsに向上され、価格も39,800円（税別）に引き下げられた後継機「Mediabox M-88」が発売されました。この機種では、1曲の通信時間が35秒に短縮され、さらなる利便性を実現しました。続いて、2002年には「Mediabox X-01」が登場し、下り56,000bps・上り33,600bpsの高速通信を可能にし、DVDドライブを搭載しました。この機種では、十八番機能の登録数が10曲に増え、自宅で多様なメディアを楽しむことができました。

サービスの終焉

タイトーは、業務用通信カラオケ事業をエクシングに譲渡した後も、家庭向けのカラオケ配信サービスを提供し続けました。しかし、インターネットの普及とともに、家庭用カラオケ機の競争が激化し、2011年にはX-55のサービスを2012年に終了することを発表しました。これにより、電話回線経由での利用は不能となりました。

料金体系

X-55の基本料金は月額1,500円で、一曲のカラオケ使用料は30円でした。ゲームの使用料は50円と設定され、通信料も別途かかるなど、利用者にとっては様々な費用が発生するシステムでした。しかし、これらの料金体系は家庭でカラオケを楽しむための便宜を図るものでした。

結論

X-55は、家庭用カラオケ機器の歴史において重要な役割を果たした製品です。単なる音声デバイスではなく、ゲームや情報提供機能を備えたマルチメディア端末としての革新が評価されています。今後、通信カラオケがどのように発展していくかは、その後の技術革新に依存していると言えるでしょう。

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