XA-32 (航空機)

XA-32の概要

XA-32は、第二次世界大戦中にアメリカ陸軍航空隊のためにブルースター・エアロノーティカル社が試作した攻撃機です。この機体は、地上攻撃および戦闘機としての機能を兼ね備えた中翼単発の単座攻撃機を目指して設計されました。最大出力2000馬力級のエンジンと、合計8門の機関砲を装備していましたが、最終的な採用には至りませんでした。

開発の背景

XA-32の開発は1941年に始まりましたが、製作を担当したブルースター社は、その時点で経営難に直面していました。小規模な会社であったため、機体製造能力に限界があり、加えて新機体の開発にも充分な時間を割くことができませんでした。そのため、試作1号機の完成は開発開始から約2年後の1943年4月となりました。

しかし、完成した機体は求められる性能には遠く及びませんでした。テスト飛行の結果、その飛行安定性不足や速度性能の不備が指摘され、特にパイロットからの苦情であった排気管からの排気炎に関する問題が深刻でした。夜間飛行の際には、視界が妨げられるという厄介な状況が報告されたのです。

性能と問題点

XA-32の飛行性能の低下の原因は、明らかにエンジン出力不足です。機体の重量に対し、搭載されていたP&W R-2800-37空冷星型18気筒エンジンの能力が不足していました。ブルースター社は、より出力の高いP&W R-4360“ワスプメジャー”エンジンへの換装を希望しましたが、陸軍は既にこの機体に興味を失っており、支援は期待できませんでした。その結果、機体の改修は進まず、試作機2機をもってXA-32の開発は終了することとなりました。

各型とスペック

XA-32には2つの試作型が存在します。

• - XA-32: 初号機で、12.7㎜機関銃8丁を装備。シリアルナンバーは42-13568。
• - XA-32A: 2号機で、20㎜機関砲4丁を装備。シリアルナンバーは42-13569。

スペック

• - 全長: 12.37 m
• - 全幅: 13.74 m
• - 全高: 3.86 m
• - 全備重量: 7,026 kg
• - エンジン: P&W R-2800-37 空冷星型18気筒 2,100hp×1
• - 最大速度: 500 km/h
• - 実用上限高度: 7,925 m
• - 航続距離: 805 km
• - 武装:

- M2 12.7mm機関銃×8 (XA-32)
- AN-M2 20mm機関砲×4 (XA-32A)
- 爆弾 最大 1360 kg

• - 乗員: 1名

結論

XA-32はブルースター・エアロノーティカル社にとって、最終的に開発された唯一の軍用機となりましたが、期待された性能を満たすことができず、量産には至らなかったことが残念です。実際、XA-32は同社の歴史の中で、最後に製造された攻撃機として記憶されています。

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