XF-108 (航空機)

XF-108 レイピア

XF-108は、アメリカ空軍のために設計された長距離要撃・護衛戦闘機です。その愛称「レイピア」は、細身の剣を意味しますが、実際には実機が製造されることはありませんでした。

概要

開発を担当したのはノースアメリカン社であり、最初はマッハ3を上回る速度が求められ、高速戦闘機としての位置づけでした。しかし、予算の制約や、護衛対象に設定されたB-70戦略爆撃機の計画が縮小されたことから、1959年9月23日に開発は中止されました。

その後、CIAからの指示で、マッハ3で巡航可能な戦略偵察機、ロッキードA-12の戦闘機バージョンであるYF-12が計画されましたが、このプロジェクトも1965年に中止されています。B-70もまた、試作機であるXB-70が二機作られるにとどまり、計画全体は頓挫しました。

XF-108の開発は中止されましたが、その火器管制装置AN/ASG-18と空対空ミサイルAIM-47は、後のYF-12に引き継がれ、最終的にはグラマンF-14の武器システムであるAN/AWG-9とAIM-54フェニックスとして具現化されました。

開発の経緯

1950年代初頭、アメリカはソビエト連邦の爆撃機による核攻撃の脅威に対抗するため、高速かつ長距離性能を持つ要撃機の必要性を感じていました。1952年にはアメリカ空軍によってしました。

設計は1955年7月20日に正式に承認され、ノースアメリカン、ロッキード、ノースロップの三社に対して要求が提示されました。提案された仕様には、双発複座でミサイルのみを搭載し、最高速度はマッハ1.7以上で、1,840kmの戦闘行動半径、そして最高18,000mの高度での飛行能力などが含まれていました。

ノースアメリカンの案が採用され、開発がスタートしますが、1956年に予算の問題で計画が一時中断されます。その後、1957年4月に計画は再開されますが、B-70の護衛機としての性能も求められるようになりました。当初の要求に加えて、マッハ3での巡航能力が必要となり、さらに航続性能も大幅に要求されました。この新しい条件の下、ノースアメリカンは計画の再開を受託し、試作機の発注が行われることになります。

しかし、XM-108の航続距離は4,000km程度であったため、「護衛戦闘機」としては不十分とされ、また選択肢がICBMやSLBMに移行したことも影響し、さらに設計の期待感は薄れていきました。最終的には1959年にモックアップのみが作られた後、開発が再び中止されることになりました。

機体設計

XF-108は特異なデザインを持ち、2段の後退角を有する高翼の変形デルタ翼機として設計されました。主翼下面にはベントラルフィンがあり、外翼には4度の下半角も付いています。垂直尾翼は可動式の一枚版であり、強力なエンジンを搭載する予定でした。

搭載される予定のエンジンは、ゼネラル・エレクトリック製J93エンジンで、2基が搭載される計画でした。武装は、核弾頭を装備したGAR-9/AIM-47空対空ミサイルが想定され、火器管制にはAN/ASG-18レーダーを使い、後部座席の乗員が武器操作を担う計画でした。超音速時の安全な脱出のために、乗員はカプセル式の射出システムを使うこととなっていました。

仕様

• - 乗員: 2名
• - 全長: 27.2 m
• - 全幅: 17.5 m
• - 全高: 6.7 m
• - 翼面積: 173.4 m²
• - 最大離陸重量: 46,508 kg
• - エンジン: J2-GE-93AR × 2基
• - 最高速度: 3,190 km/h
• - 航続距離: 4,002 km

以上がXF-108についての概要です。この計画は開発途中での中止となりましたが、航空機の設計や武器システムへの影響は、後の技術に大きな足跡を残しました。

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