XF-88 (航空機)

XF-88 戦闘機概要

XF-88は、アメリカ合衆国の航空機メーカーであるマクドネルがアメリカ空軍の要求に応じて開発した戦闘機です。愛称は「ヴードゥー」であり、この機体は後のF-101戦闘機の基盤ともなりました。しかし、量産には至らず、唯一、試作機が製造されただけでした。

開発の背景

1940年代後半、アメリカ陸軍航空軍は、爆撃機を護衛するための長距離戦闘機が必要であると認識しました。当時、戦闘機はジェット化の時代に突入していましたが、初期のジェット機は高い燃料消費率と短い航続距離という欠点がありました。これに伴い、複数の試作機が試験されましたが、XP-81やXP-83などは、性能の不足により採用を見送られました。

1946年、アメリカ陸軍航空軍は、長距離戦闘機の試作をマクドネルおよびロッキードに依頼しました。このプロジェクトは「侵攻戦闘機計画」と呼ばれ、要求された性能は、1,500マイル（約2,400km）の行動半径を持ちつつ、ある程度の地上攻撃能力も備え、機体重量は15,000ポンド以下であることでした。この要求は後に900マイル（約1,400km）へと緩和されました。

競合として、マクドネルはXP-88を、ロッキードはXP-90をそれぞれ開発しました。XP-88の試作機は1946年6月20日に発注され、1948年10月20日に初飛行を行いました。1948年6月には「XF-88」という名称に変更されました。

機体の設計

XF-88は、胴体に2基のターボジェットエンジンを搭載しており、主翼の付け根には空気取り入れ口が配置されています。排気口は機体の後部にあり、テールはその後部に延びています。また、機体は低翼配置であり、35度の後退角が設定されています。キャノピーは涙滴型のデザインで、武装には20mm機関銃を6門配備する計画でした。

長距離の行動半径を確保するために、胴体には2,273リットルの燃料容量が設けられ、追加として1,325リットルの増槽を2つ搭載可能です。この結果、最大航続距離は2,779kmに達しました。エンジンにはウエスチングハウス製のJ34-WE-13（推力：1,452kg）が使用されましたが、推力不足が問題視され、1950年6月には2号機がアフターバーナー付きのJ34-WE-22（推力：2,100kg）に換装されました。

試験の結果、XF-88はロッキード製のXF-90よりも優れていると評価されましたが、1950年9月にアメリカ空軍が侵攻戦闘機計画を中止したため、XF-88は試作にとどまることになりました。

XF-88Bの開発

初号機はアリソンXT-38-A-5ターボプロップエンジンを搭載した実験機に改修され、XF-88Bとして運用されました。このXF-88Bは高速プロペラ実験機として1953年から1957年にかけて様々な試験に使用され、1956年には混合動力プロペラ機として音速を超えることに成功しました。しかし、最終的には1958年にその機体はスクラップ処理されました。

まとめ

XF-88の設計は、その後のF-101戦闘機のデザイン基盤にも影響を与え、戦闘機ヴードゥーという愛称を受け継ぐこととなりました。試作機としては、ハイテク機材やデザインの先駆者として、航空戦力の近代化に寄与した重要な機体といえるでしょう。

【要目】

• - 全長：16.5m
• - 全幅：12.9m
• - 全高：5.6m
• - 自重：5.5t
• - エンジン：ウエスチングハウスJ34-WE-22ターボジェットエンジン2基（推力：2,100kg × 2）
• - 乗員：1名
• - 武装：M39 20mm機関銃6門（計画）
• - 最高速度：1,130km/h
• - 航続距離：2,779km

参考文献

• - 「ミリタリーエアクラフト 1994年1月号 アメリカ空軍戦闘機 1945-1993」
• - 「航空ファン別冊 No.32 アメリカ軍用機1945～1986」

外部リンク

• - MCDONNELL XF-88 空軍ファクトシート

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