XF-90 (航空機)

XF-90: ロッキードの試作戦闘機

XF-90はアメリカ陸軍航空軍が開発を依頼した試作戦闘機で、ロッキードが1949年に初飛行を実施しました。しかし、わずか2機の試作のみで、正式な採用に至ることはありませんでした。この機体は、戦争終結後の航空機の進化を象徴するものであり、当時の航空技術の限界と挑戦が詰まっています。

背景

第二次世界大戦の終結に伴い、陸軍航空軍では航空機のジェット化が急ピッチで進んでいました。特に、爆撃機の護衛を目的とした長距離戦闘機が必要とされていましたが、当初のジェットエンジンは燃費が悪く、1,000km程度の航続距離が限界でした。このような状況下で、爆撃機の護衛を担える能力を持つ機体の必要性が高まったため、試作機の開発が進められました。

1946年、アメリカ空軍はロッキードとマクドネルに対し、航続距離1,500マイル（約2,400km）を目指した長距離ジェット戦闘機の競作試作を命じましたが、航続距離の目標値が高すぎるため、後に900マイル（約1,400km）に引き下げられました。このような経緯を経て、XF-90の開発が進みました。

設計と特徴

XF-90は、1946年に正式な試作契約が結ばれた後、当初デルタ翼の設計が検討されました。しかし、最終的にはロッキードのP-80を基にした後退翼機の設計に変更されました。1948年にはその名称がXF-90に改められました。

この機体は、低翼配置の主翼を持ち、前縁は35度の後退角を採用しています。また、可変取付角の水平尾翼が取り付けられた垂直尾翼を持っています。エンジンは、当初アフターバーナーの開発が遅れたため、ウエスティングハウス製のJ34-WE-11エンジンを暫定的に使用し、その後アフターバーナー付きのJ34-WE-15に換装されました。

528年5月20日に初飛行したXF-90Aは、性能面での期待感がありましたが、重量超過や推力不足により、実際の飛行性能は不満足なものでした。特に高速飛行時の操縦性は非常に問題視され、必要な戦闘機としての能力を満たせていませんでした。

試験と結果

1950年9月まで行われた試験では、XF-90の飛行性能は期待外れであり、競作機のXF-88が多少改善を見せたものの、どちらの機体も正式採用されることなく不採用が決定されました。試作機は1952年に計画的に破壊され、以降の開発への影響を与えました。

XF-90の開発を受け、ロッキードは自社に超音速風洞を設置し、設計上の欠陥を洗い出しました。この取り組みは、後にマッハ2級戦闘機であるF-104の開発へとつながりました。

要目

• - 全長: 17.11m
• - 全幅: 12.19m
• - 全高: 4.8m
• - 自重: 8.2t
• - エンジン: ウェスティングハウスJ34-WE-15（推力：1,905kg）2基
• - 最大速度: 1,107km/h
• - 乗員: 1名
• - 武装: 予定されていた20mm機銃6門

このようにXF-90は、航空機の進化の過程における重要な試みでありましたが、その不採用は航空戦闘機の設計における機能性と性能を高めるための教訓となりました。

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