XF5 (エンジン)

XF5ターボファンエンジンについて

XF5は、防衛省の技術研究本部航空装備研究所によって研究・開発され、石川島播磨重工業（現在のIHI）の協力を得て製造された先進的なターボファンエンジンです。このエンジンの初号機であるXF5-1は、先進技術実証機の「X-2」に搭載されることが計画されています。

開発プロセスの概要

XF5の開発は、1995年度から1999年度の間に5回にわたり147億円で行われました。元々の予定よりも、性能確認試験における技術課題により、8年間延長されました。特に、圧縮機に関連する課題や試験装置の問題が影響しました。初号機は1998年に納入され、2001年までに計4基が引き渡されています。このプロジェクトは、将来的な国産戦闘機のエンジン開発に向けた重要なステップとなりました。

エンジンの技術的特性

XF5-1はアフターバーナーを搭載したターボファンエンジンで、推力は2基搭載時で約10t（アフターバーナー使用時）を目指しています。推力重量比は当時の世界基準に近い8に設定されており、その達成のためにタービン入口温度は1,600℃を目指しています。エンジンの基本仕様としては、全長は3.07m、直径は0.62m、乾燥重量は644kgという特性を持ちます。

構成要素と性能

XF5の主な構成要素には、3枚と6段からなる軸流圧縮機、アニュラー型燃焼器、1段の低圧タービンと1段の高圧タービンが含まれます。全体圧力比は25に設計されています。推力は約49.5 kNであり、アフターバーナーを使用することで推力が最大5tに達します。

高運動飛行制御システム

XF5-1に搭載される推力偏向機構やレーダーブロッカーは、三菱重工業が主契約企業として開発した高運動飛行制御システムによって実現されています。このシステムは、通常の戦闘機が制御できない失速領域でも機動制御を可能にし、高い運動性を維持します。XF5-1の噴射口には、3枚の推力偏向パドルが装備されています。

研究と試験

XF5の開発に伴う研究試作作業は2000年度から2007年度にかけて行われ、所内試験は2002年度から2008年度まで実施されました。2003年度には試作品が製作され、2007年3月に行われた完成審査では技本からの妥当な評価を得ました。その後、同年の秋には浜松基地の航空自衛隊第1術科学校にて試験が始まりました。このプロジェクトにおいては、前モデルのF3エンジンに比べ、最大推力の達成にかかる時間と労力が約30％削減されるという成果を記録しました。

まとめ

XF5は、日本の航空技術の最前線を行くエンジンとして多くの期待が寄せられています。将来的な国産戦闘機のエンジン開発に向けての大きな一歩であり、国内外の防衛技術における重要な役割を果たすと考えられています。

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