XF8U-3 (航空機)

XF8U-3 クルセイダー III

概要

XF8U-3クルセイダーIII（スーパークルセイダー）は、1950年代にチャンス・ヴォート社によって開発された次世代迎撃戦闘機です。前任機であるF-8クルセイダーの成功を受けて、さらに高性能な航空機を目指しました。この機体は、競合するマクダネル・ダグラスのF-4ファントムIIに対抗すべく設計された、非常に特異な技術を採用した航空機です。

設計と開発

XF8U-3の設計は、既存のF8U-1とF8U-2と同時進行で進められました。「V-401」という社内名称を持つこの機体は、基本的な外観がクルセイダーシリーズと類似していますが、各設計要素には革新が盛り込まれています。特に目を引くのは、プラット・アンド・ホイットニー社製のJ75-P-5Aターボジェットエンジンで、これにより最も高出力な推力29,500lbf（約131kN）を発生することが可能です。

また、機体形状による省エネ効果や、可変仰角の主翼を採用し、飛行性能を向上させています。そして、必要に応じて追加の推力を得るためにロケットモーターXLF-40を装備できる設計が施されています。アビオニクスにはAN/AWG-7火器管制コンピューターとAN/APG-74レーダーを備え、最大で6つの目標を同時に追尾し、うち2つを攻撃可能です。

このように、基本的にはF8U-2の改良型でありながら、XF8U-3は独自の開発を経た高性能戦闘機として位置づけられました。

運用の歴史

XF8U-3の初飛行は1958年6月2日に行われ、多くの資料で言及されるように、試験中に高度35,000ft（約10,670m）でマッハ2.6に達したとされていますが、実際の最高速度はマッハ2.39に留まりました。通常の運用でもマッハ2.32が目安でした。加えて、かつて計画された最高速度マッハ2.9に関しては、構造材が耐熱性能をクリアしていないために実現されることはありませんでした。

1955年にアメリカ海軍は、マッハ2を超える艦隊護衛機の競争試作を発表しました。この中でXF8U-3はF-4ファントムIIと比較され、機動力で優れた性能を示しましたが、ファントムIIの搭載量と複数任務に対する柔軟性に対抗するのは困難でした。特に、レーダー迎撃士官が搭乗するファントムに対し、XF8U-3では1名のパイロットが複数の操作をこなす必要がありました。

最終的にXF8U-3は5機が製作され、そのうち3機がテストプログラムに参加しました。この機体の性能が証明される中、残りの2機はNASAに移管され、大気圏試験などで使用されました。運用時にはNASAの試験機がファントムIIに模擬空戦を挑み、見事に勝利を収める場面もありました。

諸元

• - 乗員：1名
• - 全長：17.88 m
• - 全幅：12.16 m
• - 全高：4.98 m
• - 翼面積：41.8 m²
• - 空虚重量：9,915 kg
• - 最大離陸重量：17,590 kg
• - エンジン：J75ターボジェットエンジン
• - 最大速度：2.39マッハ
• - 武装：AIM-7スパローおよびAIM-9サイドワインダーミサイル

このように、XF8U-3クルセイダーIIIは、設計や運用において革新的な要素を多数持つ戦闘機でありましたが、最終的にはF-4ファントムIIにその運用の場を取られることになりました。

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