XP-62 (航空機)

XP-62: アメリカ陸軍航空軍の試作戦闘機

XP-62は、アメリカ陸軍航空軍によって開発された試作戦闘機であり、カーチス・ライト社による第二次世界大戦中のプロジェクトの一環として位置づけられています。この機体は、当時すでに運用されていたP-47Dよりもさらに大きなサイズを持つ単発単座の高高度用戦闘機です。

設計の背景

XP-62の開発は1941年1月に始まりましたが、すぐに設計段階での技術的な問題が露呈しました。特に、搭載予定の与圧装置やエンジンの開発に遅れが生じたため、当初の試作機の初飛行の予定は10ヶ月も遅延しました。最終的には、1943年7月21日に初飛行を迎えましたが、その際にも与圧装置は未完成でした。

機体の仕様と性能

XP-62は大型で、以下のような特徴的な仕様を持っています。全長は12.04メートル、全幅は16.36メートル、全高は4.95メートル。本機の設計は、空虚重量が5,340キログラム、運用重量が6,650キログラム、最大離陸重量が7,553キログラムであり、大きな飛行性能を期待されていました。搭載されるエンジンは、ライト製のR-3350-17星形レシプロエンジンで、出力は2,300馬力（約1,716キロワット）です。

XP-62の性能は、最大速度721 km/h、航続距離は2,414 km、実用上昇限度は11,000メートルに達するというものでした。さらに、翼面荷重は171 kg/m²という特性があり、これによって高い運動性能が発揮されることが期待されていました。

武装については、計画段階で20mm機関砲を4門搭載することが予定されていましたが、これも実際の運用には至りませんでした。

開発の終息

マイルストーンである初飛行後、XP-62は様々な厳しい評価に直面しました。1942年には100機の製造が発注されるも、開発の遅延の影響で計画はキャンセルされることとなりました。特に、既に戦闘機として運用を開始していたP-47Dと比較され、速度や実用上昇限度においてXP-62が劣っていたことも、開発打ち切りの決定に寄与しました。1943年9月には開発は完全に中止され、1944年2月にもさらなる研究のために数回の飛行が行われることがありましたが、最終的に試作機はスクラップにされました。

まとめ

XP-62は、当初の期待とは裏腹に、開発の遅れと技術的な課題に直面し、実戦部隊に導入されることのなかった試作機でした。この機体の開発の過程は、航空産業が直面する技術的課題とそれに伴う運用戦略の変化を反映した興味深いケーススタディとなっています。

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