XP-83 (航空機)

XP-83: ベルエアクラフト社のジェット戦闘機

XP-83は、アメリカのベルエアクラフト社が設計したジェット戦闘機であり、アメリカ陸軍航空軍のために開発されました。その初飛行は1945年に実施されましたが、試作機は2機しか製造されず、正式には採用されませんでした。その背景には、当時の戦闘機の技術的課題と、急速に変化する戦局が影響しています。

開発の背景

XP-83の開発のきっかけは、アメリカ初のジェット戦闘機であるP-59の性能不足にありました。P-59は1942年に初飛行したものの、初期ジェットエンジンの燃料消費率の高さが災いし、航続距離はわずか380kmにとどまりました。このため、アメリカ陸軍航空隊は1944年に長距離戦闘機のモデルを求め、ベルエアクラフト社に新型機の設計を依頼しました。ここから、XP-83へのプロジェクトが始まります。

設計と試作

ベル社は、P-59を基にした改良機としてXP-83の設計を進めました。機体は太胴型デザインで、機内には大容量の燃料タンクを設置。機内タンクは4,350リットル、外部の増槽には950リットルの燃料を収容できるようになっています。この設計により、最大航続距離は3,500kmを目指すことができました。

機体は中翼配置となっており、空気取り入れ口は主翼前端に配置されています。また、コックピットは水滴型の与圧型に改良され、操縦士の安全性と快適性が向上しました。武装面では、初号機には12.7mmの機銃が装備され、2号機では15.7mmの機銃が搭載されました。

初飛行とその後の運命

XP-83の初号機は1945年2月25日に初飛行を行い、続いて2号機は10月19日に飛行しました。しかし、両機の飛行性能は設定していた計画値を大きく下回る結果となりました。また、第二次世界大戦の終結により、開発は早期に中止されることとなりました。

1946年には初号機がラムジェットの試験機に改造される運命を辿りますが、9月14日にエンジン火災で失われてしまいます。一方、2号機は1947年にスクラップとして処分されました。これにより、XP-83はベルエアクラフト社最後の戦闘機となりました。これ以降、同社は高速試験機X-1や回転翼機の開発にシフトし、航空機業界における新たな道を模索することとなったのです。

基本データ

• - 全長: 13.67m
• - 全幅: 16.15m
• - 全高: 4.65m
• - エンジン: J33-GE-5ターボジェットエンジン（推力1,700kg）×2
• - 乗員: 1名
• - 最大速度: 840km/h
• - 最大航続距離: 3,500km
• - 武装: 12.7mm機銃 6門

XP-83は試作のみにとどまったものの、当時の航空機開発の挑戦と限界を示す重要な存在でした。そのデザインと技術は、後の世代の航空機に影響を与えることとなるのです。

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