XP4Y (航空機)

XP4Y-1 コレギドー：幻に終わったアメリカ海軍の哨戒飛行艇

XP4Y-1 コレギドーは、コンソリデーテッド社がアメリカ海軍向けに開発した双発飛行艇です。社内名称はモデル31。洋上哨戒任務を担うことが期待されましたが、最終的に採用されることはありませんでした。愛称の「コレギドー」は、当時アメリカが領有していたフィリピンのコレヒドール島に由来します。

開発の経緯

1938年、コンソリデーテッド社は軍用・民間用の両方での使用を視野に入れた新型飛行艇の設計を開始しました。これがモデル31です。1939年5月5日には試作機が初飛行し、その優れた性能を示しました。しかし、第二次世界大戦へのアメリカ参戦直後の1941年12月8日、テスト終了と同時にアメリカ海軍はこの試作機を購入し、XP4Y-1と命名しました。

哨戒機としての能力を付与するため、機首、機尾、胴体背面に銃塔が追加され、4,000ポンド（約1,820kg）の外部搭載能力が付与される改修が施されました。1942年10月には200機分のP4Y-1が発注され、生産のためにコンソリデーテッド社はニューオーリンズに新しい航空機工場を建設しました。しかし、試作機の準備の遅れに加え、ライト製R-3350エンジンの供給不足が深刻化します。このエンジンは当時、B-29スーパーフォートレス爆撃機にも使用されており、そちらが優先されたためです。結果として、P4Y-1の発注はキャンセルされ、建設された工場はPBYカタリナ飛行艇の生産に転用されることになりました。

設計の特徴

モデル31は全金属製の機体で、高アスペクト比の片持ち式主翼（デービス翼）を高翼配置としていました。この主翼は、後に同社製のB-24 リベレーター爆撃機にも採用されています。また、上方に反り上がった後部胴体に双垂直尾翼と方向舵を備えている点も特徴です。主翼下面には引き込み式のフロート2つと、新型のR-3350 星型エンジン2基を搭載していました。民間仕様では、52名分の座席または28床の寝台を備えることが可能でした。

スペック

以下にXP4Y-1 コレギドーの主要諸元を示します。

乗員: 6名
全長: 22.58 m
全高: 7.67 m
翼幅: 33.53 m
翼面積: 97.36 m2
運用時重量: 21,772 kg
動力: ライト R-3350 空冷星型エンジン (1,715 kW) × 2
最大速度: 398 km/h
巡航速度: 219 km/h
航続距離: 5,279 km
実用上昇限度: 6,520 m
上昇率: 6.25 m/s
武装（計画）:
機首銃塔: 37mm機関砲 × 1
背面/機尾: 12.7mm機関銃 × 各1
爆弾: 1,814kg（外部搭載）

まとめ

XP4Y-1 コレギドーは、その高い性能が期待されながらも、エンジンの供給問題という不運に見舞われ、量産化されることなく終わった悲運の飛行艇でした。しかし、その先進的な設計は、後の航空機開発に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

参考文献

The Illustrated Encyclopedia of Aircraft (Part Work 1982-1985), 1985, Orbis Publishing, Page 1194
Donald, David, ed. Encyclopedia of World Aircraft (Etobicoke, ON: Prospero Books, 1997), p. 266, "Consolidated (Model 32) B-24 Liberator".
Green, William. War Planes of the Second World War: Volume Five Flying Boats. London:Macdonald, 1962. ISBN 0-3560-1449-5.
Wegg, John. General Dynamics Aircraft and their Predecessors. London:Putnam, 1990. ISBN 0-85177-833-X.

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