XPBB (航空機)

XPBB シーレンジャーについて

XPBB シーレンジャー（Boeing XPBB Sea Ranger）は、アメリカのボーイング社がアメリカ海軍向けに開発した飛行艇です。この機体は試作のみが行われ、量産には至りませんでした。その愛称「シーレンジャー」は「海のレンジャー」を意味し、海上での任務を担うデザインが特徴です。

開発の経緯

1939年、アメリカ海軍は長距離洋上哨戒飛行艇の提案を複数の提携企業に求めました。ボーイング社はそれに応じてモデル344を提出し、試作機が製作されることになりました。最初の試作機はXPBB-1と名付けられ、海軍からは1940年6月29日に正式に試作発注がなされました。試作機は1942年7月9日に初飛行を果たし、その後1943年には海軍へ引き渡されました。

XPBB-1の命名において「X」は試作機、「PB」は哨戒爆撃機（Patrol Bomber）を示し、「B」は製造企業であるボーイングを指します。全体で57機の量産発注もあったものの、実際には生産は行われませんでした。

機体の特徴

XPBB-1はレシプロエンジンを搭載した双発の飛行艇であり、主翼は高い位置に配置されていて、外翼部分には固定式のフロートが装備されています。尾翼は通常配置で、機首や上部中央、尾部に12.7mmの連装機銃が搭載されています。また、機体後部の側面には左右それぞれに単装機銃が装着されており、攻撃機能も持っています。

主翼は当初B-29向けに設計されたものを改修しており、機内には爆弾を搭載できるほか、主翼の下には魚雷もそれぞれ1発ずつ装備可能です。これにより、海上での多様な任務に対応できるようになっていました。

配備と生産中止

XPBB-1は試作から高い性能を評価されていましたが、アメリカ軍は次第にB-29爆撃機の開発に重点を置くようになりました。ボーイング社は、PBBの量産に向けてレントンに海軍専用の航空機工場を新設しましたが、その工場は最終的に陸軍向けのB-29生産に振り替えられたため、 XPBBは試作機1機のみが存在することになりました。飛行試験は1945年1月まで行われましたが、最終的には1947年に機体は解体されました。

機体スペック

• - 機種: XPBB-1
• - 全長: 28.89m
• - 全幅: 42.59m
• - 全高: 10.42m
• - 翼面積: 169.7m²
• - 自重: 18,878kg
• - 最大離陸重量: 45,968kg
• - エンジン: ライト R-3350 星型レシプロエンジン（2,300馬力）2基
• - 乗員: 10名
• - 武装: 12.7mm連装機銃3基、12.7mm単装機銃2基、爆弾2,000ポンドまたは魚雷4発
• - 最大速度: 345km/h
• - 航続距離: 10,000km（最大航続時間72時間）
• - 実用上昇限度: 6,830m

現存する機体と関連機種

XPBB-1自体は現存する機体がないものの、類似の機体としてPB4Y-1 リベレーターやPB4Y-2 プライヴァティアなどがあります。これらの機種も海軍向けに設計され、各々特有の設計と用途を持っています。

シーレンジャーはその後の飛行艇開発においても注目される存在となり、試作機ながらその性能から歴史的に重要な位置を占めています。

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