XTB2D (航空機)

XTB2Dスカイパイレートについて

XTB2Dスカイパイレート（Douglas XTB2D Skypirate）は、アメリカ海軍の要請に応じてダグラス社によって開発された艦上攻撃機です。この機体は「スカイパイレート」という愛称で知られ、空の海賊を意味します。開発には多くの挑戦がありましたが、最終的には試作段階でのみに留まりました。この文章では、XTB2Dの概要、開発経緯、設計と性能、さらにその後の運命について詳細に見ていきます。

概要

XTB2Dの開発は、太平洋戦争が始まるにあたり、アメリカ海軍が新しい艦上攻撃機の必要性を痛感したことから始まりました。この時期、海軍は新型航空母艦の建造計画を進めており、それに合わせた艦上機の開発も急務でした。ダグラス社は、その要請に応じて新たな設計を行い、XTB2Dを開発しました。

XTB2Dは、当時の主力雷撃機であるTBFアヴェンジャーの性能を大きく上回ることが期待されましたが、設計や生産の遅れ、戦争の終結などが影響し、試作機のみが製造される結果に終わりました。これにより、この素晴らしい機体は量産には至らず、海軍に正式に採用されることはありませんでした。

開発経緯

1941年12月の真珠湾攻撃を契機とした太平洋戦争の開戦は、アメリカ海軍に新型艦上機の開発を促しました。ダグラス社は、既存の艦上機を更新する計画のために、特に高性能な艦上攻撃機の必要性を痛感していました。当初、ダグラス社は双発の大型艦上機を構想しましたが、プラット・アンド・ホイットニー社が開発中の強力なエンジンを搭載することで、単発機でも十分な性能が得られると判断しました。

その結果、XTB2Dは単発機として設計され、様々な兵器を搭載できるように設計されました。具体的には、爆弾倉を有し、外部のステーションにも兵器を装備することが可能で、最大4基の魚雷もしくは大型爆弾を運ぶことができました。

設計と性能

この機体は、細長い胴体と逆ガル式の主翼を持つ独特な形状をしており、全長14m、主翼幅は21mに及びます。このサイズは、当時の艦上機の中でも異例のものでした。機体の重心や安定性を考慮し、様々な設計変更が施されました。飛行性能は優れていましたが、エンジンやプロペラに関するトラブルが多く、試験飛行は予定通りに進みませんでした。

搭載されるエンジンは、ダグラスの設計によって選ばれたP&W R-4360で、出力は3,000馬力を誇ります。このエンジンにより、XTB2Dは相応の積載量を保持しつつ、優れた航続距離と離陸能力が確保されました。爆弾倉には様々な兵器を搭載可能で、その能力は当時の航空機の中でも突出したものとなっていました。

結局の運命

XTB2Dスカイパイレートは試作機の段階で数々のテストを行いましたが、1945年の時点で多くのエンジンとプロペラの問題が発覚し、さらなる改修が必要とされました。戦争の終結が近づく中、この大型艦上攻撃機の開発は必要がないと判断され、最終的には量産計画がキャンセルされました。試作機は2機が製作されましたが、その後も運用されることはなく、1949年には廃棄されました。

結論

XTB2Dスカイパイレートは、技術的には非常に興味深い艦上攻撃機であり、その設計と性能は当時の他の機体を凌駕していました。しかし、その実用化に至ることはなく、その運命は不運なものでした。この機体は、アメリカ海軍の機体開発の歴史の中で特異な存在として記憶され続けています。

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