Xgrid

Xgrid（エックスグリッド）は、Appleがかつて開発・提供していたMac OS X ServerおよびMac OS X向けの分散コンピューティング環境です。このシステムは、複数のMacコンピュータをネットワークで接続し、それらの計算能力を合わせて大規模な計算処理を行うことを可能にします。特に、ローカルネットワークだけでなくインターネットを介しても分散処理が可能であり、柔軟な計算資源の利用を促進しました。

Xgridの仕組み

Xgridは、Bonjour（旧称Rendezvous）テクノロジーを活用して、ネットワーク上で利用可能なエージェントマシンを自動的に検出します。これにより、ユーザーは複雑な設定を行うことなく、手軽に分散コンピューティング環境を構築できます。主コントローラとなるマシンが、ネットワーク上のエージェントマシンを認識し、計算タスクを分散・実行する役割を担います。

対応OSと歴史

Xgridは、Mac OS X v10.3以降で動作し、Mac OS X Server v10.4からは標準機能として搭載されました。この標準搭載により、より多くのユーザーがXgridを利用することが可能になりました。しかしながら、OS X Mountain Lion（10.8）およびOS X Server 2.0で廃止され、その役割を終えました。

利用シーン

特にアメリカ合衆国内では、Xgridは安価かつ容易にグリッドコンピューティングを実現できるシステムとして、大学の研究機関を中心に一定の支持を得ていました。複雑な計算処理を必要とする研究分野において、Xgridはその手軽さとコストパフォーマンスの高さから重宝されていました。

技術的な詳細

Xgridは、主に以下の要素で構成されています。

コントローラ: 計算タスクを割り当て、エージェントの管理を行う。
エージェント: 実際に計算処理を実行する。
クライアント: ユーザーが計算タスクをコントローラに送信する。

これらの要素が連携することで、効率的な分散コンピューティングが実現されます。

関連技術

Xgridは、グリッドコンピューティングというより大きな枠組みの中で捉えることができます。グリッドコンピューティングは、複数のコンピュータをネットワークで接続し、それらの計算資源を共有する技術全般を指します。Xgridは、このグリッドコンピューティングの概念をMac環境に適用したものです。

また、OsiriXというDICOMビューアは、Appleの支援を受け、技術公開とほぼ同時にXgridに対応しました。これにより、医療画像の処理など、計算負荷の高いタスクを分散処理することが可能になりました。

参考文献

Apple - Advanced Computation Group（現在はリンク切れ）
Xgrid Agent for Mac OS X 10.3 Panther（アーカイブ）
Xgrid@Stanford スタンフォード大学によるXgridを利用した分散コンピューティングの取り組み（アーカイブ）

Xgridは、Appleのイノベーションを象徴する技術の一つであり、分散コンピューティングの普及に貢献したと言えるでしょう。その技術は、後のシステムにも影響を与え、分散コンピューティングの基礎を築く上で重要な役割を果たしました。

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