OsiriX

OsiriX（オザイリクス）とは

OsiriXは、DICOM（Digital Imaging and Communications in Medicine）規格に準拠した医療用画像データを扱うことに特化した、オープンソースの画像処理ソフトウェアです。macOSおよびiOS環境で動作し、多言語に対応しているため、世界中の医療現場で利用されています。

開発と歴史

OsiriXの開発は、当初OsiriX財団のOsiriXプロジェクトによって進められていましたが、現在はPixmeo社が開発を引き継いでいます。Ver5.8まではGPL（GNU General Public License）の下でソースコードが公開されており、以前は代表的なオープンソースソフトウェアの一つとして知られていました。

2004年には、世界最大の放射線医学学会である北米放射線学会（RSNA）において、その医学的貢献が認められ、ソフトウェアとして初めてCum Laude賞を受賞しました。

主な特徴

画像処理機能

OsiriXは、医療機器から出力されるDICOM規格に準拠した画像に対して、2次元画像処理やMIP（Maximum Intensity Projection）法、MPR（Multi Planar Reconstruction）法を用いた3次元画像処理機能を備えています。さらに、Visualization Toolkit (VTK) を活用したボリュームレンダリングやサーフェイスレンダリングなど、高度な画像解析が可能です。

多様なファイル形式のサポート

DICOM形式の画像ファイルだけでなく、TIFF、JPEG、PDFといった画像ファイルや、AVI、MPEG、QuickTimeなどの動画ファイルも参照できます。これにより、様々な形式の医療データをOsiriX上で一元的に管理・解析することができます。

macOSとの親和性

macOSに深く依存しており、Appleの最新技術に迅速に対応しています。これにより、Grand Central Dispatchによるマルチスレッド処理、Xgridを用いたグリッドコンピューティング、Quartzによる高品質なベクトル画像表示、OpenGLによる高速なラスター画像表示、OpenCLによる画像処理演算の高速化、QuickTimeを用いた3次元動画の高速出力など、最新のテクノロジーを駆使した快適な操作環境を実現しています。

プラグインによる機能拡張

プラグインを作成することで、OsiriXの機能を拡張することができます。これにより、ユーザーのニーズに合わせたカスタマイズが可能となり、利便性が向上します。

PACS機能

OsiriX 2からは、PACS（Picture Archiving and Communication System）と呼ばれる画像サーバとしての機能が搭載されています。これにより、画像管理ソフトウェアとしても利用できるようになりました。PACS機能では、アカウントによるアクセス制御が可能で、セキュリティ面も考慮されています。以前は別パッケージとして提供されていたPACS機能は、現在はOsiriX本体に統合され、設定によって簡単に利用できます。バックエンドのデータベースにはSQLiteが使用されており、数万件程度の検査であれば十分対応可能です。ただし、数十万件から数百万件規模の大規模な運用には向いていません。

最新OSとハードウェアへの対応

OsiriX MD Ver.12.0からは、macOS 11 Big SurおよびApple Siliconに対応しています。これにより、最新のmacOS環境でも快適に動作し、Apple Siliconの性能を最大限に活用した高速な画像処理が可能です。

関連情報

参考文献

• - 杉本真樹『医用画像解析アプリOsiriXパーフェクトガイド』エクスナレッジ社、東京、2011年。
• - 杉本真樹『消化管・肝胆膵ベッドサイドイメージング―フリーソフトウェアOsiriXでつくる3Dナビゲーション』へるす出版、2009年。
• - 「フロントランナー　IT駆使して医療を可視化」『朝日新聞』2010年7月10日付朝刊土曜版be

日本語解説アプリ

• - OsiriX Navigator (iPhone App)

関連項目

• - 杉本真樹

外部リンク

• - GitHub の開発サイト
• - 「オザイリクスプラグイン開発者ツールキット_Version1.0 (Japanese)」

OsiriXは、医療現場における画像診断・解析に不可欠なツールとして、その進化を続けています。

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