Xpdf

Xpdf（エックスピーディエフ）は、X Window SystemとMotif環境で動作する、オープンソースのPDFビューアーです。このソフトウェアは、暗号化されたPDFファイルも読み込むことができる多機能性を備えています。オリジナルのXpdfは、PDFのDRM（デジタル著作権管理）に従い、コピー、印刷、ファイル変換といった操作を制限する機能を有しています。しかしながら、これらの制限を解除するパッチも存在しており、ユーザーはより柔軟な利用が可能です。

Xpdfは、単なるPDFビューアーとしてだけでなく、X Window Systemに依存しない様々なユーティリティプログラムを含んでいます。これらのプログラムを利用することで、PDFファイルから画像を抽出したり、PDFをPostScript形式やテキストファイルに変換したりすることが可能です。このような機能は、PDFのコンテンツを他の形式で利用したい場合に非常に役立ちます。

また、Xpdfは、その優れたレンダリングエンジンが評価され、KPDFなどの他のPDFリーダーのバックエンドとしても採用されています。さらに、BeOS環境のBePDFやRISC OS環境の!PDFといった他のプラットフォームのPDFビューアーにも、Xpdfのレンダリングエンジンが利用されており、その汎用性の高さを示しています。

しかしながら、Xpdfにはいくつかのセキュリティ上の脆弱性が指摘されてきました。その結果、Xpdf 3.0のレンダリングライブラリは、Popplerという別のプロジェクトとしてフォークされることとなりました。現在では、Xpdfを含む多くのプログラムが、レンダリングエンジンとしてPopplerを利用しています。これにより、セキュリティが強化され、より信頼性の高いPDF処理が可能となっています。

Xpdfは、初期のPDFビューアーの一つとして、その技術が多くのソフトウェアに影響を与えてきた歴史的なソフトウェアであると言えるでしょう。その開発の過程で生まれたPopplerは、現在でも多くのオープンソースソフトウェアで利用されており、Xpdfが残した技術的な遺産は大きいと言えます。

もう一度検索