YAH-63 (航空機)

YAH-63の概要

YAH-63は、アメリカのベル・ヘリコプターが開発した試作攻撃ヘリコプターで、社内では「Bell Model 409」と呼ばれていました。この機体の開発は、ベトナム戦争でのAH-1 コブラの運用成果を受けて始まりました。アメリカ陸軍は、AH-1の後継機を求めて新たに「AAH（Advanced Attack Helicopter）」計画を発表し、これに基づいて新しい「戦闘攻撃ヘリコプター」を設計することになりました。

開発の経緯

YAH-63の開発にあたっては、以前に行われていた「AAFSS（Advanced Aerial Fire Support System）」計画への応募が関係しています。ベル社は、自社で開発した「Bell Model 209」をもとに設計を進めましたが、このモデルは実際には採用されることはありませんでした。さらに、「Bell Model 309 “KingCobra”」を基にして、より進化したモデルとして「Bell Model 409」が完成しました。このモデルは、アメリカ陸軍のヒューズ・エアクラフトが設計した案（これが後のYAH-64）と共に採用の候補となり、その結果「YAH-63」として試作機の製造が開始されました。

試作機の製造と評価

試作機として2機が製造され、これらはYAH-64との比較試験へと進みました。試作機の性能は、当初の要求仕様をうまく満たしていましたが、比較試験の結果、YAH-64がより優れた性能を発揮したため、YAH-63は不採用となることが決まりました。この結果によって、YAH-63は試作の段階で終了し、量産には至りませんでした。

性能と仕様

YAH-63の主要な性能は次の通りです。全長は13.6メートル、全高は4.1メートル、主回転翼の直径は14.6メートル、回転面積は168.1平方メートルです。自重は2,993キログラムで、最大離陸重量は4,500キログラムに達しました。搭載エンジンとしては、GE T700 ターボシャフトエンジンを2基使用し、合計1,300キロワットの出力を誇ります。実用最大速度は338キロメートル毎時、実用上昇高度は3,720メートル、上昇力は8.2メートル毎秒、航続距離は587キロメートルです。

武装

YAH-63は強力な武装を搭載しており、機首下面にはM197 20mmの3銃身ガトリング砲が装備されています。この装弾数は750発であり、試作機にはこの武装が搭載されていましたが、生産型ではXM188 30mmの3銃身ガトリング機関砲への変更が検討されました。そのほかにも、対戦車ミサイルBGM-71 TOWやハイドラ70 2.75インチロケット弾を使用することが可能でした。乗員は2名で、操縦士と副操縦士兼射撃手が搭乗します。

関連項目

YAH-63の開発に関しては、攻撃ヘリコプターに関連する他の機体も興味深いものです。特に、AH-1コブラはこの機体の基盤となった攻撃ヘリコプターであり、その後のAH-56シャイアンやAH-64アパッチなども影響を与えています。後者のYAH-64は、YAH-63を凌ぐ性能を持ち、アメリカ陸軍の主力攻撃ヘリコプターとして採用されました。

YAH-63は、短命ながらも重要な開発段階の一部をなす攻撃ヘリコプターでした。

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