YF-23 (航空機)

YF-23: アメリカの試作ステルス戦闘機

YF-23はアメリカ空軍のためにノースロップ・グラマンとボーイングが設計した試作のステルス戦闘機です。この機体は、1990年に初飛行し、アメリカ空軍の先進戦術戦闘機計画（ATF）に基づいて開発されました。ロッキード社のF-22案と競い合った結果、量産には至らなかったものの、その独自のデザインと技術革新が注目されています。

概要と設計

YF-23は、非常に高いステルス性を実現するために、ひし形の主翼やペリカンテールと呼ばれる尾翼デザインを採用しています。第5世代戦闘機に分類されるこの機体は、スーパークルーズ能力も有しており、兵器は機体内部に搭載する設計が計画されていましたが、実機にはその能力は付与されませんでした。

初飛行は1990年8月27日に成功し、次第にその性能が評価されましたが、最終的にはロッキード社のF-22が選ばれました。YF-23はその後、NASAに移管され、長らく研究用として保管されていました。

開発経緯

ATF計画は1980年代に始まり、最も有望な設計案としてYF-22とYF-23が選ばれました。ノースロップ社の一貫した機密保持策もあり、初めてその姿を公開したのは飛行試験の際でした。PAV-1（初号機）は1989年に製造され、1990年にメディアの前に姿を現しました。

政府の評価は1991年4月に行われ、ロッキード社のF-22が選ばれた理由として、生産性や機動性を重視した結果だとされています。

特徴

YF-23は、一般的な戦闘機とは異なる革新的な設計が魅力的です。尾翼はV字型で、通常の水平・垂直尾翼を排除したことで、空気抵抗が減少し、より優れたステルス性能を実現しています。機体の寸法はF-22に近いものの、デザインにはより先進的な要素が取り入れられています。

また、YF-23は胴体内に兵器を収納する設計ですが、実際の試作機では搭載能力は求められていませんでした。エンジンはP&WB社製のYF119と、GE社製のYF120の2つがあり、どちらもスーパークルーズ能力を持つものでした。

愛称と保存

YF-23には「ブラック・ウィドウII」という愛称が付けられ、各試作機にはそれぞれ「グレイゴースト」や「スパイダー」の愛称が与えられています。現在、PAV-1はオハイオ州の国立アメリカ空軍博物館に、PAV-2はカリフォルニアの西部航空博物館に展示されています。

派生型と影響

YF-23はFB-23やF-23Nといった派生型の計画もありましたが、最終的にはATF計画がF-22に一本化されたため、中止となりました。しかしそのデザインや技術は、後の航空機開発に大きな影響を与えました。

まとめ

YF-23は試作機としては失敗に終わりましたが、その革新的な設計と高い性能は、今なお航空機設計の参考となっており、航空ファンや技術者の間で高く評価されています。

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