YJ-83 (ミサイル)

YJ-83 対艦ミサイル

YJ-83（中国語: 鷹撃-83、拼音: Ying-Ji-83）は、中国で開発された高度な対艦ミサイルです。国際的な取引においてはC-802という名称で知られ、アメリカ国防省ではCSS-N-8として識別されています。NATOのコードネームは「サッケード」です。.

開発の背景

このミサイルの開発は、中国航天科工集団公司（CASIC）が推進し、第三航空宇宙学院（CHETA）で1970年代から始まりました。YJ-83の前身であるYJ-8は、フランスのエグゾセ MM38を参考にし、固体燃料ロケットを使用することで空対艦ミサイルとしての性能を高めました。YJ-8の派生型としては、空対艦型のYJ-81や潜水艦発射型のYJ-82が存在し、後には艦載型の改良版YJ-8Aも開発されています。

エグゾセシリーズの進化を受けて、YJ-83は長射程化するためにターボジェットエンジンを採用しました。これにより、飛行時の推進力を向上させ、より遠くのターゲットに到達可能となりました。YJ-8Aからの進化により、弾体重量は100kg軽減された一方で、弾頭の重さは165kgに設定されています。YJ-83は、飛行中に高度20-30メートルを維持し、終末航程では5-7メートルの低空を飛ぶシースキマーと呼ばれる特性を有しています。さらに、マッハ0.9の速度を持つとされ、終末航程ではマッハ1.5から2に達する可能性も指摘されていますが、その設計には超音速を考慮した要素が含まれていないとの意見もあります。

配備と公開

実際の飛行試験は1990年に行われ、1994年からは中国人民解放軍海軍への配備が始まりました。1999年の軍事パレードでは、YJ-83が初めて公にされましたが、その外観は明らかにされていませんでした。その後、このミサイルは駆逐艦やフリゲート艦艇に搭載され、対艦戦の主軸を担う存在となります。

海外での展開

イランはC-802を逆輸入し、ノールという名で独自に生産して配備しています。また、これらのミサイルの一部はシリアにも輸出されています。国外でもその性能が評価され、多くの海軍がYJ-83/C-802シリーズを採用しています。

主要な派生型

YJ-83は多様な派生型が存在し、それぞれ異なる使用条件に応じた性能を提供しています。代表的なモデルには以下が含まれます：

• - YJ-83: 射程120kmの初期型。
• - YJ-83A/YJ-83J: 射程を180km、空中発射時は250kmに拡大したモデル。
• - YJ-83K: 射程180kmの空中発射型。
• - YJ-83KH: 赤外線画像シーカーを搭載し、射程230kmを誇るモデル。
• - C-802: YJ-83の基盤となるモデル。
• - C-802A: YJ-83の地上発射型輸出モデル。
• - C-802K: YJ-83の空中発射型輸出バージョン。

搭載艦艇

YJ-83は多数の艦艇に搭載されており、その一部は以下の通りです：

• - 中国人民解放軍海軍の駆逐艦やフリゲート、潜水艦
• - インドネシア海軍の艦艇
• - イラン海軍の多くの艦型（ノールを含む）
• - シリア海軍
• - ミャンマー海軍の艦艇にも使用されています。

これらの情報から、YJ-83は単なるミサイルではなく、国際的にも広く使用される軍事技術の一部であることがわかります。

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