Yom yom

『yom yom』（ヨムヨム）は、株式会社新潮社が発行していた小説誌です。2006年12月7日に創刊号が発行され、創刊編集長は木村由花氏が務めました。当初は年4回の季刊誌としてスタートしましたが、その後、年5回発行、再び季刊、そして毎奇数月の刊行と、発行頻度を何度か変更しています。2017年2月発売の43号をもって紙媒体としての刊行を終了し、翌44号からは電子版へと移行しました。さらに、2021年3月発売の67号からはウェブマガジンへと姿を変え、現在に至っています。

誌名の「yom yom」は、「読む」という言葉に由来しており、「読む」ことが好きな人々に向けた、その楽しみをより一層広げることを目指していました。雑誌のキーワードは、『じっくりヨムヨム、ぱらぱらヨムヨム、晴れの日も雨の日も、楽しくヨムヨム』でした。

創刊からしばらくの間、表紙イラストは100%ORANGEが担当し、新潮文庫のマスコットキャラクターであるYonda?君が表紙を飾っていました。その後、今日マチ子氏、押見修造氏へと表紙イラスト担当が引き継がれました。

『yom yom』は、小説作品を中心に、エッセイ、インタビュー、対談、ガイドなど、多岐にわたるコンテンツを掲載していました。特に、山[[本文緒]]氏が体調不良から復帰後初の小説を掲載したことや、小野不由美氏が人気シリーズ『十二国記』の新作を書き下ろしたことなどが話題となり、大きな注目を集めました。また、掲載された作品が後に新潮社から単行本化されたり、新潮文庫や新潮文庫nexに収録されたりすることも多くありました。

かつては、新潮文庫の販売促進企画「Yonda? CLUB」とも連動しており、誌面で葡萄のマークを入手することができました。また、『小説[[新潮]]』の姉妹版として位置付けられた会員制のデジタル雑誌『yomyom pocket』も創刊されましたが、こちらは後に会員サイトを終了し、連載は別のウェブサイトに引き継がれました。

掲載された作品は、単行本化や文庫化されるだけでなく、読者の間で長く愛される作品も多く、文芸誌としての役割を十分に果たしたと言えるでしょう。

主な掲載作品

青柳碧人 「猫河原家の人びと」
石田衣良 「ダブルスコア」
乾ルカ 「モノクローム」
内澤旬子 「卒業できない私たち」
江國香織 「ちょうちんそで」
太田紫織 「緑羅紗扉（グリーンベーズドア）の向こうの時間」
恩田陸 「青葉闇迷路」
柏井壽 「祇園白川 レシピ買います 小堀商店」
神永学 「パーソナル・リスク」
木下半太 「ブラザーズ・オーシティ」
重松清 「一人っ子同盟」
白石一文 「偏愛」
高殿円 「マル合の下僕（しもべ）」
たかはしみき 「東京ひよっ子3人暮らし」（コミックエッセイ）
田牧大和 「女錠前師 謎とき帖」
津原泰水 「爛漫たる爛漫」
畠中恵 「しゃばけ」シリーズ
ふみふみこ 「愛と呪い」
道尾秀介 「貘」シリーズ
宮内悠介 「アメリカ最後の実験」
森晶麿 「パパとお喋りな絵画たち」
柚木麻子 「本屋さんのダイアナ」

過去の掲載作品

阿川佐和子 『婚約のあとで』『うから はらから』
朝倉かすみ 『とうへんぼくで、ばかったれ』
浅生鴨 『アグニオン』
大島真寿美 『三人姉妹』
奥田英朗 『噂の女』
角田光代 『くまちゃん』
金原ひとみ 『マリアージュ・マリアージュ』
川上弘美 『どこから行っても遠い町』
窪美澄 『晴天の迷いクジラ』
櫛木理宇 『FEED』
小池真理子 『Kiss』
坂木司 『女子的生活』
沢木耕太郎 『あなたがいる場所』
重松清 『Long Long Ago』
嶽[[本野ばら]] 『祝福されない王国』
辻村深月 『ツナグ』
梨木香歩 『家守綺譚』
乃南アサ 『すれ違う背中を』『いちばん長い夜に』
三崎亜記 『ニセモノの妻』
森見登美彦 『四畳半王国見聞録』

エッセイ

江國香織
荻原浩
角田光代
金原ひとみ
北村薫
小池真理子
佐藤多佳子
重松清
島[[本理生]]
高村薫
森絵都
森博嗣
山[[本文緒]]
湯本香樹実
* 横山秀夫

『yom yom』は、紙媒体から電子版、そしてウェブマガジンへと姿を変えながら、常に「読む」ことの楽しさを追求し、多くの読者に愛される文芸誌でした。

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