Yoriko-寄子-

yoriko -寄子-

2008年4月5日に劇場公開された日本の恋愛映画。原作は香月秀之、監督と脚本は棚木和人が担当し、主演は櫛山晃美と高田宏太郎が務めた。前世の記憶という神秘的な要素を織り交ぜながら、美しい夏の海辺を舞台にしたラブストーリーが展開される。本作は、公開に先立つ2007年の第5回モナコ国際映画祭において、原作が最優秀オリジナルストーリー賞（ベストオリジナルストーリーアワード）を、脚本が最優秀ライター賞（ベストライターアワード）を受賞し、国際的な評価を得た。

あらすじ

物語の主人公は、売れない小説家である稲泉悟。彼はアルバイトで日々の生計を立てながら執筆活動を続けていた。ある日、知人の紹介を通じて出版社の編集長である鹿島に自身の原稿を見てもらう機会を得る。しかし、鹿島は彼の作品に対し「魂が感じられない」と辛辣な評価を下す。それでも、悟の中に秘められた才能を見抜いていた鹿島は、創作のラストチャンスとして自身の持つ別荘を彼に提供する。

静寂に包まれた別荘で執筆に集中しようとする悟だったが、なかなか思うように筆は進まず、深い葛藤の日々を送る。そんな中、彼は別荘の近くにある海辺で、寄子と名乗る謎めいた美しい女性と運命的な出会いを果たす。二人は瞬く間に惹かれ合い、まるで以前から結ばれることが決まっていたかのように、濃密な愛を育んでいく。寄子との出会いと深まる愛情は、停滞していた悟の創作意欲を掻き立て、彼は小説執筆に没頭し始める。

寄子への思いを力に変え、一心不乱に物語を紡いでいく悟。しかし、彼の筆が進み、作品が形になっていくにつれて、傍らにいる寄子の表情から少しずつ輝きが失われていくことに、悟は気づくことができなかった。短い夏が終わりを迎え、小説の完成が間近に迫ったある日、寄子は忽然と悟の前から姿を消してしまう。

キャスト

寄子：櫛山晃美
稲泉悟：高田宏太郎
鹿島：寺田農
桂亜沙美
町田政則
本城丸裕
片瀬まひろ
菊地龍
高橋聖二
菅沼公明

スタッフ

監督：棚木和人
脚本：棚木和人、松島恵利子
原作：香月秀之
プロデューサー：萩尾友樹、田村淳、櫻井一葉
エグゼクティブプロデューサー：大和田廣樹
撮影：安田光
音楽：MOKU
企画・製作：ドリームキッド
企画協力：レッドライスメディウム
制作会社：フレッシュハーツ

主題歌

* 川嶋あい「リマインダー」

公開と評価

本作は2008年4月5日に日本で公開されたが、上映は東京都渋谷区にあるミニシアター、シネマライズでの限定的なものだった。しかし、公開に先立ち、2007年のモナコ国際映画祭で原作と脚本がそれぞれ賞を受賞しており、特に物語性と構成力が高く評価されたことがうかがえる。

美しい映像と切ない物語、そして前世の記憶というスピリチュアルなテーマが融合した作品として、観る者に強い印象を残した。

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