Yuming Compositions: FACES

『Yuming Compositions: FACES』（ユーミン・コンポジションズ・フェイセス）は、松任谷由実が2003年12月17日に発表したセルフカバーアルバムです。東芝EMIより発売されました。

概要

2000年代初頭のカバーブームを背景に、松任谷由実の音楽生活30周年を記念して、以前から要望の高かったセルフカバーアルバムが実現しました。当時、松任谷由実は「シャングリラII」の公演を控えており、新規アルバムの制作が困難であったため、既に完成していた楽曲をセルフカバーする形で本作が制作されました。

収録曲は全て松任谷由実自身が選曲しており、他アーティストへの提供曲、特に″呉田軽穂″名義で作詞・作曲した楽曲も含まれている点が特徴です。これらの楽曲は、松任谷由実自身が普段歌うことがないと語っていたもので、ファンにとっては貴重な音源となりました。

プロデュースは、従来のアルバムと同様に松任谷正隆が担当。編曲は、Ricky Petersonが主に担当し、松任谷正隆自身も数曲を手がけています。初回限定盤は三方背BOX仕様で、2003年までにリリースされた松任谷由実の全ディスコグラフィと提供曲を網羅した豪華ブックレットが付属しています。

収録曲と楽曲解説

1. オーシャン・ブルー（ocean version）：1980年代初期の雰囲気を再現したダンス・ヴァージョン。稲垣潤一への提供曲をセルフカバー。
2. 日付変更線：オリジナルよりもテンポが若干速いアレンジ。南佳孝への提供曲。
3. 雨音はショパンの調べ：小林麻美への提供曲で、ガゼボの「I like Chopin」の日本語詞カバー。アルバムのCMにも使用されました。
4. 瞳はダイアモンド：松田聖子への提供曲。「愛してたって言わないで」のフレーズがカットされています。
5. あの頃のまま：ブレッド&バターへの提供曲。歌詞には過去を懐かしむフレーズとして「サイモン&ガーファンクル」が登場します。
6. 『いちご白書』をもう一度：バンバンへの提供曲。ユーミンのソングライターとしての初のヒット曲であり、バンバンにとってもブレイクのきっかけとなった重要な楽曲です。70年代のコンサート・ツアーでも歌唱されていましたが、音源化は初となります。
7. Woman "Wの悲劇"より：薬師丸ひろ子への提供曲で、映画『Wの悲劇』の主題歌。
8. やさしさに包まれたなら（Yumi Matsutoya with Yumi Arai）：『MEGMILK』CMイメージソング。荒井由実時代の歌声とデュエットしたセルフカバー。
9. 星のクライマー：麗美への提供曲。植村直己の夢と、残された妻の愛をテーマにした楽曲。
10. ベルベット・イースター（beyond 30years）：デビューアルバム『ひこうき雲』からのセルフカバー。音楽活動30周年を記念した選曲です。
11. オーシャン・ブルー（blue version）：初回プレス限定盤のみに収録されたボサノヴァ〜バラード風ヴァージョン。

『Yuming Compositions: FACES』は、松任谷由実のソングライターとしての才能と、時代を超えて愛される楽曲の魅力を再発見できるアルバムと言えるでしょう。

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