Z-10 (航空機)

Z-10（霹靂火）攻撃ヘリコプター

Z-10は中国初の本格的な攻撃ヘリコプターで、愛称は「霹靂火」です。このヘリコプターの開発は、中国が攻撃用途に適した航空機を必要とする認識から始まりました。1970年代からその必要性が高まっていましたが、当初はアメリカ製のヘリコプターを購入しようとして価格面での折り合いがつかず、長い間課題が残されました。

開発の歴史

1979年、中国民用航空局はアメリカとの交渉のもと、UH-1 ヒューイの改良モデルであるベル412の購入を検討しましたが、実現には至りませんでした。その後も、1980年代の中国陸軍は他の機種のライセンス生産を進めるも、本格的な攻撃ヘリコプターは欠如していました。1988年にはAH-1 コブラの契約を締結しましたが、六四天安門事件後の武器禁輸により、その契約はキャンセルされてしまいました。

1994年、WZ-10の設計は秘密裏に進められました。ロシアのカモフ社との契約によって、中国直昇機研究開発研究所が設計を行い、昌和飛機工業公司が製造を担当しました。2003年に初飛行を果たし、試作機は約400時間の飛行試験を経て、正式な運用準備が整いました。

機体構造と性能

Z-10の機体は細長い形状で、パイロットが座る座席は縦列に配置され、前と後に高低差が設けられています。メインローターは5枚の複合材料製のブレードから成り、時計回りに回転します。エンジンは双発で、選定されたPT6C-67Cターボシャフトエンジンは高い出力を誇ります。

機体の風防には防弾ガラスが使用されており、小口径の弾丸からの保護が施されています。武装面では、HJ-10対戦車ミサイルや空対空ミサイルが搭載可能で、戦闘機用の電子戦ポッドも携行できるよう改良が進められています。さらに、30mmの機関砲が機首に固定され、状況に応じた精密な射撃が可能です。

配備と運用

Z-10は、人民解放軍において主に南京軍区に配備され、様々な演習に参加しています。2020年時点での推測では、150機のWZ-10が陸軍に配備されているとのことです。この数字は、同型機が実戦での運用において重要な役割を果たしていることを示しています。

派生型と登場作品

Z-10は多くの派生型を持ち、輸出モデルや改良型も存在します。また、漫画やゲームなどのさまざまなメディアに登場し、多くの人々に知られる存在になっています。例えば、ゲーム『バトルフィールド』シリーズやアニメ『空母いぶき』では、Z-10が特定のミッションに投入される描写がなされています。これにより、Z-10は軍事幻想やエンターテインメントのコンテンツでも重要な位置を占めています。

まとめ

Z-10（霹靂火）は、中国が誇る攻撃ヘリコプターであり、国家の防衛において重要な役割を果たしています。その開発の経緯と技術的な特徴は、軍事的な背景だけでなく、国際的な軍事協力の状況も反映しています。今後の運用や改良の進展も注目されるところです。

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