中国民用航空局

中国民用航空局：中国民間航空の歩みと変遷

中国民用航空局（CAAC）は、中華人民共和国の民間航空行政を管轄する国家機関です。中国共産党政権樹立後の1949年、人民革命軍事委員会の下に設置され、空軍の指揮下に置かれました。当初は国内航空交通を独占していましたが、1988年には行政機能と航空会社経営機能を分離、民営化への道を歩み始めます。

CAACという名称は、航空会社としての経営機構と、国内航空会社を統括する行政機構の両方を指す場合があり、文脈によって解釈が異なります。IATAコードはCA、ICAOコードはCCA、コールサインはAir Chinaとして知られていましたが、現在これらのコードは中国国際航空に引き継がれています。国際線にはCA、国内線には番号のみが付与されるという運行形態も特徴的です。

CAACの沿革：変革の時代

CAACの歴史は、中国の政治・経済状況と深く関わっています。

1949年: 中国民用航空局設立。中国航空公司、中央航空公司から機材・技術提供を受けました。
1958年: 国務院交通部の一部局となります。
1960年: 交通部民用航空局と改称。航空経営の責任を負い、各地区の民用航空管理局を指揮するようになります。
1962年: 中国民用航空局と改称。国務院直属の部局となり、空軍が人事管理等を担うようになります。この後、幾度となく組織体制の変更を繰り返します。
1973年: 初めて東京国際[[空港]]（羽田空港）へ飛行しました。
1980年: 鄧小平の指示により企業化が推進され、国務院直属の機構となります。行政機構と経営機構の分離、企業化に向けた改革が加速します。CAACは航空運輸を独占する全国企業となり、北京、上海、広州、成都、蘭州（後に西安に移転）、瀋陽に地区管理局を置きました。
1987年～1989年: 航空会社と空港の経営分離が進み、地区管理局ごとに航空会社が設立されます。北京管理局は華北管理局となり中国国際航空を、上海管理局は華東管理局となり中国東方航空を、広州管理局は中南管理局となり中国南方航空を設立。成都、西安、瀋陽の管理局もそれぞれ航空会社を設立しましたが、後に中国国際航空や中国東方航空に合併されました。中国通用航空公司も設立され、貨物輸送などを担うようになりました。
1990年: 中国航空油料総公司、中国航空器材公司が設立されました。
1993年: 中国民用航空総局と改称されました。
2000年: WTO加盟に向けて、民航総局直属企業10社の3社への統合構想を発表。
2002年: 中国国際航空、中国東方航空、中国南方航空の3社を中心に民航系航空会社を統合。中国民航情報集団公司、中国航空油料集団公司、中国航空機器材輸出入集団公司と合わせて6大集団公司を形成し、民航総局との分離を明確化しました。新疆管理局も新設されました。
[2004年]]: 全国空港の管理権限移譲が完了し、中国民用航空総局の体制改革が完了しました。国際民間[[航空機関]理事国に選出。
2008年: 中国民用航空局と改称されました。
2019年: ボーイング737 MAXの運航停止を決定。
2020年: 新型コロナウイルス感染拡大に伴い、国際旅客便の減便措置を発表しました。

CAACにまつわる事故・事件

CAACの歴史には、数々の事故や事件も刻まれています。

1956年: 地質調査機の墜落事故。
1982年: 中国民航3303便墜落事故（乗員乗客全員死亡）。
1982年: イリューシンIl-18Bの火災事故。
1983年: 中国民航機韓国着陸事件（ハイジャック事件）。
1983年: 桂林発北京行き旅客機と空軍機との衝突事故。
1985年: 中国民航5109便墜落事故。
1986年: アントノフAn-24の着陸失敗事故。
1988年: 中国民航CA301便オーバーラン事故。
1989年: 中国民航機ハイジャック事件（福岡[[空港]]着陸）。

これらの事故・事件は、航空安全の向上、国際協力の強化、そしてCAACの組織運営の見直しに繋がる重要な教訓となりました。

まとめ

中国民用航空局は、中国の民間航空発展において中心的な役割を果たしてきました。政治的・経済的変動の中で組織体制を変えながらも、民営化や航空会社再編などを推進し、現代中国の巨大な航空産業の礎を築いたと言えるでしょう。その歴史には、発展と同時に数々の苦難や課題も含まれています。CAACの歩みは、中国の近代化と経済発展の一端を物語っています。

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