Z8 (コントローラ)

ザイログ Z8

ザイログZ8は、1979年に発表された8ビットマイクロコントローラーアーキテクチャです。この設計は、その後のeZ8 Encore!、eZ8 Encore! XP、eZ8 Encore! MCといった現代の製品群にも引き継がれています。Z8は、その革新的な特徴により、多くの組み込みシステムに採用されてきました。

特徴的なアーキテクチャ

Z8アーキテクチャの最大の特色は、高速なオンチップレジスタファイルです。これは、アキュムレータ、ポインタ、そして汎用RAMとして機能するレジスタ群で構成され、理論上最大4096個ものレジスタを搭載できます。この高速アクセス可能なレジスタファイルは、プログラムの実行効率を高めます。

プログラムコードや定数データの格納には、1Kバイトから64KバイトのOTP ROMまたはフラッシュメモリに対応する16ビットのアドレス空間が利用されます。さらに、大規模なシステムのために、もう一つの16ビットアドレス空間も用意されています。

チップには、A/Dコンバータ、SPI、I2C、IrDAエンコーダ／デコーダなど、組み込み用途に不可欠な様々な周辺機能が統合されています。

パッケージングは8ピンから80ピンまでと幅広く、P-DIP、MLF、SSOP、SOIC、LQFPなど多様な形態で提供されます。eZ8 Encore!シリーズでは、単一ピンのシリアルインタフェースによるプログラミングとデバッグが可能です。

Z8とZ80の違い

Z8は、修正されたハーバード・アーキテクチャを採用しています。これは、同じザイログ社のZ80 CPU（しばしば「ぜっぱち」と略され混同されやすい）とは根本的に異なる設計です。しかし、アセンブリ言語の記法はザイログの他プロセッサと似ており、LD命令やDJNZ命令など共通のニモニックが見られます。なお、Z8L/S180はZ8ファミリーではなくZ180ファミリーの製品です。

競合製品

主な競合相手は、類似構造のマイクロチップPICシリーズや、インテル8051の後継製品です。また、ハーバード型ではないワンチップマイコン、例えばモトローラ68HC11、日立H8、Z80派生品、東芝TLCS-870なども競合と見なされます。

主な製品ファミリ

Z8アーキテクチャに基づく製品は、以下のファミリに分類されます。

ROMless: 内蔵ROM非搭載
ROM: 内蔵ROM搭載
OTP: 内蔵OTP ROM搭載（一度書き込み可能）
Low Voltage: 約2Vの低電圧動作対応
GP: 汎用向け
Encore!: 内蔵フラッシュメモリ搭載（再書き込み可能）
Encore! XP: Encore!にセンサー機能を追加
Encore! MC: モーター制御向け

これらのファミリにより、Z8アーキテクチャは幅広いアプリケーションに対応してきました。

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