ZBrush

ZBrush（ズィーブラシ）とは

ZBrushは、Pixologic社が開発したWindowsおよびmacOS向けの3DCGソフトウェアです。日本語では「ゼットブラシ」と呼ばれることもありますが、公式な読み方は「ズィーブラシ」です。

概要

初期のZBrushは、2Dペイントソフトウェアに3Dオブジェクトのシェーディングやレンダリングを合成する2.5Dペイントソフトという位置づけでした。しかし、現在では高度な3Dモデリング機能が充実し、モデラーとして広く利用されています。

ZBrushは、映画『ロード・オブ・ザ・リング』の制作時に、WETAデジタルスタッフがデジタルマケットの製作に使用したことで、そのディテール表現能力が注目されました。その後、改良が重ねられ、デジタルスカルプト機能が大きく進化しました。

ポリゴンだけで複雑なディテールを表現するのは、メモリ量やインタラクティブ性の問題から困難です。そのため、テクスチャの明度情報をモデルの凹凸に変換するディスプレイスメントや、法線を操作して陰影で溝や模様を表現するノーマルマップ機能が不可欠です。ZBrushはこれらの機能を備え、他の主要な3Dソフトとの連携も容易であるため、映像・ゲーム業界で標準的に使用されています。

同系統の機能を持つ3Dソフトとしては、MudBox、3D-Coat、Sculptrisなどがあります。Sculptrisは、開発者がPixologic社に入社したため、現在では同社のWebサイトで配布されており、一部機能はZBrushに移植されています。

機能限定のサブセット版としてZBrushCoreが廉価で販売されています。ZBrushCoreは、以前はペンタブレットのバンドルソフトとしても提供されていました（現在は廃盤）。

発売以来、アップデートは無償で提供されていましたが、2022年にPixologic社がMAXON社に買収されたことに伴い、MAXON社のサブスクリプションプログラム「MAXON ONE」での有償提供に移行しました。

主な機能

Pixol

Pixolは、R（赤）、G（緑）、B（青）の各色情報に加えて、深度（Z）と法線情報を持つ2.5次元のピクセルです。これにより、立体的な陰影や影を表現できます。

ポリペイント

ポリペイントは、各ポリゴンの頂点にRGB値を割り当てることで、直接ポリゴンモデルにペイントできる機能です。テクスチャUVマップを設定する必要はありませんが、詳細なペイントを行うには多くのポリゴン分割が必要です。

ZSphere

ZSphereは、作りたいモデルの大まかな形に合わせて球体を並べ、ポリゴンに変換する機能です。そこからペイント感覚でモデルを加工できます。これにより、モデルの基本形状を素早く作成できます。バージョン2から搭載されました。

Projection Master

Projection Masterは、モデルに細かな凹凸を施したり、テクスチャを描き込みやすくするために、ユーザーの視点を固定する機能です。これにより、モデルへのテクスチャ投影を制御します。また、アルファ画像でブラシの形状を制御することもできます。Projection Masterで精度の高い彫刻やテクスチャを制作するには、モデルの必要な部分をできるだけ大きく表示してから実行することが重要です。

UV Master

UV Masterは、UVマップの設定を自動化する機能です。

Dynamesh

Dynameshは、Sculptrisから移植された機能です。従来のZBrushでは、モデルを大きく変形させるとポリゴンが伸びてスカルプトが困難になっていましたが、Dynameshでボクセル変換することでポリゴン密度が一定になり、スカルプトが可能になります。

ZRemesher

ZRemesherは、複雑なモデルからゲームやアニメーション用に形状に沿ったローポリゴンモデルを生成する「リトポロジー」作業を自動で行う機能です。カーブでポリゴンの流れを制御したり、ポリペイントでポリゴン密度を調整したりできます。

ZModeler

ZModelerは、ポリゴン構造を直接編集する機能です。

外部リンク

Pixologic
Pixologic Japan (@PixologicJP) - X（旧Twitter）

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