ZTTレコーズ

ZTTレコード：実験精神が生んだ音楽革命

ZTTレコードは、音楽ジャーナリストのポール・モーリー、プロデューサーのトレヴァー・ホーン、そしてジル・シンクレアによって1983年に設立されたイギリスのレコードレーベルです。その名前は、未来派の詩人マリネッティの作品に由来し、革新的な音楽を生み出すというレーベルの姿勢を象徴していました。

黎明期：サウンドの開拓

ZTTの音楽的基盤は、当時としては非常に高価だったフェアライトCMIやシンクラヴィアといったサンプリング・マシーンの多用でした。トレヴァー・ホーンとゲイリー・ランガンは、これらの機材を駆使し、イエスのアルバム制作で生まれた未使用の素材などを活用して、オーケストラル・ヒットやブラス・ヒットといった斬新なサウンドを生み出しました。これは、現代のDTMの先駆けとも言える試みでした。

アート・オブ・ノイズ：サンプリングの先駆者

特に、アート・オブ・ノイズは、サンプリングの可能性を追求し、既存の楽器では生み出せない独特の世界観を創り上げました。彼らの革新的なサウンドは、世界中の音楽家やアレンジャーに影響を与え、ダンス・ミュージック、ヒップホップ、ドラムンベースなどの原点となりました。

フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド：世界的大ヒット

1983年には、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの「リラックス」が世界的な大ヒットを記録し、ZTTの名を広く知らしめました。彼らのデビューアルバム『ウェルカム・トゥ・ザ・プレジャードーム』も成功を収め、レーベルには多くのアーティストが集まるようになりました。プロデューサーのスティーヴ・リプソンの参加により、レーベル・サウンドはより音楽的なグルーヴと質感を増し、多様性を獲得しました。

プロデューサーたちの貢献

トレヴァー・ホーン、ゲイリー・ランガン、スティーヴ・リプソンといったプロデューサーたちは、単に制作を指揮するだけでなく、自ら楽器を演奏し、アレンジにも深く関わりました。彼らの演奏技術と音楽的センスが、ZTTサウンドの完成度を高めたと言えるでしょう。

1990年代以降：新たな展開

1990年代には、トレヴァー・ホーンの秘蔵っ子であるシールが活躍し、ZTTは次世代のアーティストを輩出しました。また、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドやアート・オブ・ノイズなどのリミックス盤や再発盤がリリースされ、過去の遺産が再評価されました。

現在：SPZグループの一員として

現在、ZTTレコードはSPZグループの傘下にあります。SPZとは、Sarm Studios、Perfect Songs publishing、ZTT recordsの連合体の略称であり、ZTTは初期からSarm Studioを拠点として、音楽制作、出版、レーベル運営を一体的に行ってきました。

ZTTレコードの主なアーティストたち

1980年代

アクト
アート・オブ・ノイズ
フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド
グレイス・ジョーンズ
プロパガンダ

1990年代

シール
シェイン・マガウアン
トム・ジョーンズ

2000年代

* リサ・スタンスフィールド

ZTTレコードは、常に実験精神を持ち、新しい音楽の可能性を追求してきたレーベルです。その革新的なサウンドは、時代を超えて多くの人々に影響を与え続けています。

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