Zend Engine

Zend Engineとは

Zend Engineは、PHPのインタプリタとして機能する、レジスタマシンベースの仮想機械です。PHPの実行を担う中核部分であり、The PHP Groupによって開発・公開されている自由なソフトウェアです。PHP Licenseに類似したZend Engine Licenseが適用されています。

歴史

PHPは元々、ラスマス・ラードフ氏によって開発されたソフトウェアでした。初期のPHP 2（PHP/FI）までは、彼がほぼ一人で開発を行っていました。PHP 3の開発段階で、アンディ・ガトマンズ氏とゼーブ・スラスキー氏というイスラエル工科大学の学生二人が、構文解析部の開発に加わりました。

PHP 4では、この二人がパーサを全面的に再設計し、その功績を称えて、彼らの名前を組み合わせた「Zend Engine」と名付けられました。その後、二人はゼンド・テクノロジーズ社を設立し、PHPを基盤としたWebアプリケーションの開発を行っています。Zend Engineがリリースされた1999年以降、PHPは急速に普及し、広く利用されるようになりました。

機能

PHP 3以前は、ソースコードを実行するたびに翻訳する方式でしたが、Zend Engineではファイル単位で中間表現に翻訳し、それを実行する方式に変わりました。この変更により、PHP 4ではPHP 3と比較して10倍以上という大幅な速度向上が実現しました。

また、Zend Engineはモジュール化されており、APIが公開されています。これにより、第三者がPHP向けの拡張モジュールを開発することが可能になり、PHPの機能拡張に大きく貢献しています。

バージョン

Zend Engineのバージョン番号は、PHPのバージョンと連動しています。初めてZend Engineが搭載されたPHP 4.x系はVersion 1.x、PHP 5.x系はVersion 2.x、PHP 7.x系はVersion 3.x、そしてPHP 8.x系はVersion 4.xというように、PHPのメジャーバージョンアップごとにZend Engineのバージョンも更新されています。

Zend Engine 2

PHP 5に搭載されたZend Engine 2では、オブジェクト指向プログラミング関連の機能が大幅に強化されました。カプセル化や抽象クラスといった機能が追加され、より洗練されたプログラミングが可能になりました。また、例外処理の機能も強化され、より堅牢なアプリケーション開発をサポートしています。

まとめ

Zend Engineは、PHPの根幹をなす重要な要素であり、PHPの進化を支えてきました。高速な実行環境と柔軟な拡張性を実現することで、PHPがWeb開発で広く利用されるための基盤となっています。

参考文献

ラスマス・ラードフ、Kevin Tatroe、Peter MacIntyre『プログラミング PHP』オライリー・ジャパン、2007年。ISBN 978-4-87311-342-5。

関連項目

Phalanger - .NET Framework上でのPHPの実装

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