Amin

amin（アミン） - 中国の歌姫、その生涯と音楽

1973年1月15日、中国上海市に生まれたamin（ウー・フイミン）は、澄んだ歌声と幅広い音楽性で知られたシンガーソングライターでした。中国古典音楽作曲家で碗琴奏者を父に、二胡奏者の姉を持つ音楽一家に育ち、幼少期は「慧敏」の愛称で呼ばれていました。この愛称を元に、後にアーティスト名「amin」を名乗ることになります。

中国での活動から日本への進出

1985年、まだ12歳のaminは家族で上海電視台の歌番組に出演し優勝、その才能を早くから開花させました。その後、中国の歌謡コンテストでギターの弾き語りにて入賞し、数枚のカセットテープによる個人アルバムをリリース。19歳の時に初来日を果たし、以後、東京と上海を拠点に活動を始めます。

日本での活躍と日中文化交流への貢献

2003年、サントリー烏龍茶のCMソング「大きな河と小さな恋」を担当。この楽曲の大ヒットにより、日本での知名度を飛躍的に高めました。20万枚を超えるセールスを記録し、彼女の優しく力強い歌声が広く知れ渡ることになります。

その後も、精力的に音楽活動を展開。2005年の愛・地球博では、松任谷由実が結成したYUMING with Friends Of Love The Earthに参加し、皇太子殿下（当時）や小泉純一郎首相（当時）の前で「Smile again」を披露しました。同年、中国本土出身歌手として初めてNHK紅白歌合戦に出場する快挙を成し遂げ、日本の音楽シーンに大きなインパクトを与えました。

彼女の活動は音楽にとどまりませんでした。2007年には初の著書『ウーロン茶のCMソングから、中国語を始めませんか？』を出版。また、東京・福岡で中国語のグループレッスン教室「amin Chinese Lounge」を開講し、中国語教育にも貢献しました。同教室には著名な歌手レイチェル・チャンも受講生として参加したことが知られています。

2010年の上海万博では、開幕式コンサートに中国代表として出演。各国首脳を前に万博テーマ曲を歌唱し、日中文化交流の使者としての役割も担いました。東日本大震災後には、被災地への慰問やチャリティーコンサートにも参加、その温かい人柄が多くの人の心に響きました。

音楽活動の幅広さと多様なコラボレーション

aminの音楽性は多岐に渡り、フォーク、モダンジャズ、中国古典音楽を取り入れるなど、独自のスタイルを確立していました。多くのアーティストとのコラボレーションも積極的に行い、安部潤、ファンキー末吉、ブルームーンカルテットなど、多彩なミュージシャンとの共演も記憶に残ります。映画やCM音楽、ゲーム音楽など、活動領域も多様性に富んでいました。

早すぎる死とその後

2021年7月29日、病気のため48歳という若さで急逝しました。その死は、日本と中国の音楽シーンに大きな悲しみをもたらしました。彼女の透明感のある歌声、温かい人柄、そして日中文化交流への貢献は、多くの人々の記憶の中に深く刻まれています。

ディスコグラフィー

彼女の作品は、アルバム、シングル、参加作品など多岐に渡ります。主な作品としては、デビューアルバム『おなじ空の下』、愛・地球博テーマソングに参加した『Smile again』、中国語カバーアルバム『ACROSS —楼蘭の少女—』などがあります。彼女の楽曲は、今もなお多くの人々に聴かれ、愛されています。

aminの活動は、音楽の枠を超えて、日本と中国の文化交流に大きく貢献しました。彼女が残した音楽と記憶は、これからも多くの人々の心に響き続けることでしょう。

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