Iichiko

『iichiko』は、三和酒類株式会社が1986年10月に創刊した季刊の文化雑誌です。この雑誌は、単なる情報の発信源としてだけでなく、文化と学術の融合を目指した独自の視点を提供しています。

概要

創刊の背景には、「酒は文化である」という思想がありました。河北秀也の監修のもと、山本哲士が編纂を担当し、読者に対して高レベルな内容を提供することを目標としました。キーワードとして「精神」「民俗」「環境」「場所」の4つを掲げ、これらのテーマに基づいた超領域的な研究や考察を幅広く掲載しています。

1999年には、国際版である「iichiko intercultural」を統合し、日本語だけでなく英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語など多言語での展開を試み、国際的な文化誌としての地位を確立しようとしました。

雑誌の制作には、三和酒類から1号あたり1,400万円の費用が支出されています。これは、質の高いコンテンツを提供するための投資と見ることができます。

iichiko文化学賞

1991年には、iichiko文化学賞が創設されました。この賞は、世界の超領域的な文化学研究を行っている研究者を顕彰することを目的としています。過去の受賞者には、ロジェ・シャルチエ、ナンシー・チョドロウ、アルフレッド・ロペス・アウスティン、ジャック・グディなど、各分野で著名な研究者が名を連ねています。

過去の特集テーマ

『iichiko』は、多岐にわたるテーマを特集しており、各号で独自の視点を提供しています。以下に、過去の特集テーマの一部を紹介します。

西部劇の文化学
日本文化のホスピタリティ
ファッション・カルチャー
吉本隆明の『心的現象論』了解論
「場所」論ノート―西田幾多郎の「場所」論稿を読む
日本語の文化学
科学技術とオクタビオ・パス
愛の理論
科学技術とホスピタリティ
アルチュール・ランボー151
ホスピタリティの空間
プライベートなもの パブリックなもの
モーリス・ゴドリエの文化学
ホスピタリティ・ビジネス
* ホテルのホスピタリティ

これらのテーマからもわかるように、『iichiko』は、文化、社会、科学技術など、幅広い分野にわたる問題を取り上げ、読者に新たな視点を提供し続けています。

文化科学高等研究院出版局

現在では、新曜社より市販本『LIBRARY iichiko』も発刊されましたが、現在は文化科学高等研究院出版局より刊行されています。

公式サイトでは、最新の情報や過去のアーカイブが公開されており、関心のある読者は詳細な情報を入手することができます。

『iichiko』は、単なる雑誌としてだけでなく、文化と学術の架け橋としての役割を果たし、読者にとって貴重な情報源となっています。その独自性と質の高さから、多くの研究者や文化愛好家から支持されています。

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