LONGS

LONGS（ロングス）の概要

LONGS（ロングス）は、SBI新生銀行、あおぞら銀行、商工組合中央金庫から成るキャッシュサービスのネットワークです。このネットワークは、金融機関が連携し、顧客に対して現金引き出しの利便性を向上させるために設計されています。

起源と発展

1984年3月、日本の郵政省が全国の郵便局で郵便貯金のオンラインシステムを導入。これにより、全国の2万台余りのCD・ATMから現金の引き出しが可能になりました。この革新は、民間金融機関にとって大きな脅威となり、各金融機関は郵貯ネットワークに対抗するための方策を模索する必要がありました。

そうした中、1990年に地方銀行と都市銀行の間でオンライン提携を結ぶための協議が始まり、同年2月には全国キャッシュサービス（MICS）が稼働しました。これにより、地方銀行、都市銀行、信託銀行、信用金庫など、多様な金融機関がオンラインで連携を開始しました。特に目を引くのは、信託銀行や第二地方銀行、信用組合までが次々と提携を結んだ点です。

LONGSの設立

一方で、長期信用銀行である日本興業銀行、日本長期信用銀行、日本債券信用銀行の3行と商工中金は、当初は提携から排除されていました。これは、店舗数が少ないために液体性が薄く、提携のメリットが少ないと見なされていたからです。しかし、郵貯ネットワークに対策を講じるため、1992年に長期信用銀行が提携を要望し、共同システムの構築に向けた動きが加速しました。

1994年には、LONGSが稼働を開始し、MICSを通じてBANCSと提携しました。また、LONGSの運営は東京銀行協会が担当しました。この時点でLONGSは、MICS、BANCS、信託銀行オンラインキャッシュサービス（SOCS）との連携を強化し、それ以外の業態とは基本的に提携を結ばない方針を強めました。

最近の動向

LONGSを構成した金融機関は、その後の金融再編の影響を受け、多くの変化が訪れました。2002年には、日本興業銀行がみずほ銀行に合併され、LONGSから離脱しました。さらに、経営破綻から国有化された日本長期信用銀行および日本債券信用銀行は、2004年と2006年にそれぞれ新生銀行とあおぞら銀行に転換しましたが、共にLONGSの枠組みに留まりました。

商工中金も、特殊会社として改組される過程で完全民営化が議論されましたが、2008年の金融危機やその後の東日本大震災の影響を受けて、民営化の時期が遅れることになりました。

近年では新生銀行が全てのATMをセブン銀行に切り替え、2018年にはあおぞら銀行もATMを郵便局のATMに切り替えました。これにより、商工中金のみが独自のATMを運営する状況となり、新生銀行とあおぞら銀行はネットワーク接続に専念しています。2024年には、商工組合中央金庫が店舗内ATMを順次撤去し、セブン銀行ATMへ転換する計画が発表され、都市銀行への片方向接続が行われる見通しです。

結論

LONGSは、地方銀行と都市銀行の連携を強化し、顧客に対して利便性の高いキャッシュサービスを提供する重要なネットワークです。その歴史は、金融機関間の競争や提携の進化を象徴するものであり、今後の動向も注視されるべきでしょう。

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