Midjourney

Midjourney：テキストから画像を生成するAIプログラム

Midjourney（ミッドジャーニー）は、人工知能を活用してテキストの説明から画像を生成するプログラムであり、その開発を行う独立した研究所の名称でもあります。これまでの運用はクローズドベータ版でしたが、2022年7月13日にオープンベータ版への移行が発表され、広く一般に提供されています。Midjourneyを率いるのはデビッド・ホルツで、彼はLeap Motion社の共同設立者でもあります。以前はフリーミアムモデルが採用されていたものの、現在は有料の利用枠のみが提供されています。て親しみやすいコンテンツ生成ツールとしての地位を確立しています。

Midjourneyでは、ユーザーがDiscordのBotコマンドを使ってアートワークを制作します。このプロセスは、テキストプロンプトまたは参考画像に基づいて行われ、結果として出来上がる画像は実際の写真のようなリアルなものから、イラスト風のものまで多岐にわたります。ユーザーは生成モデルを選ぶことで、出力される画像のスタイルを指定できます。

使用例とアーティストの視点

デビッド・ホルツは、アーティストをMidjourneyの競争相手ではなく、顧客であると位置づけています。アーティストたちはこのツールを巧みに活用し、自身の作品を創り出す前に、クライアントにアートのコンセプトを提示するための迅速なプロトタイピングを行なっています。Midjourneyは著作権で保護されたアーティストの作品をトレーニングデータとして利用するため、特定のアーティストからは「オリジナルの作品を軽視している」といった批判が寄せられています。

著名な利用事例として、2022年にイギリスの雑誌『エコノミスト』が発行した表紙デザイン、イタリアの新聞『コリエーレ・デラ・セラ』で見られる漫画などがあり、これらはミッドジャーニーによって生成されています。特に、コロラド・ステート・フェアでのデジタルアートコンペティションにおいて、Midjourneyが制作した画像「Théâtre d'Opéra Spatial」が最優秀賞を受賞し、注目を集めることになりました。

一方で、Midjourneyの利用がアーティストの仕事を奪うとする批判もあり、実際に雑誌の表紙で生成された画像を使用した場合、アーティストたちから強い反発が寄せられました。

倫理的および法的な問題

MidjourneyなどのAI画像生成ツールは、インターネット上の作品を無断でスクレイピングして教師データを生成しているため、著作権侵害の疑念が強まっています。『ハーバード・ビジネス・レビュー』は、このような行為が知的財産権を侵害する可能性があることを指摘し、生成物の出所を明示する必要性を強調しています。

2023年には、オレゴン州の漫画家サラ・アンダーソンらが、画像生成AIの不正利用をめぐって訴訟を提起しました。この状況は、アーティストコミュニティの間で反発を生み出しており、権利や報酬の保障を求める声が広がっています。

また、ディープフェイク問題も取り上げられ、2023年3月にはMidjourneyが生成したドナルド・トランプの偽の画像が話題となりました。この画像が偽情報を拡散する危険があるとして、政策提言が求められています。

終わりに

Midjourneyは革新的な技術を提供する一方で、著作権や倫理的な課題に直面しています。今後、この技術がどのように発展し、アーティストや社会全体とどのように関わっていくのかが注目されます。

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