Sendmail

Sendmailとは

Sendmailは、UNIX環境で長らく利用されてきたメールサーバソフトウェアです。その核となるのは、パターンマッチングルールに基づき動作するオートマトンと、MTA（メール転送エージェント）機能をサポートする各種ユーティリティです。MTAとしての動作は、`sendmail.cf`ファイルに記述された複雑かつ膨大なパターンマッチングルールによって制御されています。

歴史的背景

1980年代から1990年代にかけて、様々な企業や研究機関が独自の電子メールプロトコルとシステムを開発し、電子メール環境は非常に多様化していました。Sendmailは、こうした乱立するプロトコル間の相互変換と橋渡しを行うために誕生しました。

Sendmailは、電子メールプロトコルよりも下位層に位置する様々な通信プロトコルに対応しています。TCP/IPはもちろんのこと、かつて主流だったパソコン通信のUUCPなどにも対応していました。しかし、この柔軟性は、数多くのセキュリティホールを生み出す原因ともなりました。

2013年10月には、米プルーフポイント社による買収が行われ、Sendmailの開発とサポートは同社に移管されました。

主な特徴

設定ファイルの複雑性

Sendmailの設定ファイルは非常に複雑であり、直接編集することは困難です。通常は、M4言語で記述された`mc`ファイルを利用し、そこから実際の`cf`ファイルを生成する手順がとられます。この設定の複雑さと、それに伴うセキュリティ上の問題点を改善するため、代替となるメールサーバソフトウェアも複数開発されています。

商用版Sendmail

Sendmailにはオープンソース版と商用版が存在します。商用版では、IMAP/POPサーバを構築できる「Sendmail Advanced Server」という製品が提供されています。
商用版では、GUIを通じて設定が行えるため、複雑な設定も比較的容易に行うことができます。また、メールの送信速度も向上しています。柔軟性と引き換えに複雑化してしまった設定を、商用サポートや商用版によって解決するオプションが用意されていると言えるでしょう。

次世代Sendmail

Sendmailの構造を完全に再構築した次世代版として、「Sendmail X」が開発されました。その後、「MeTA1」と名称を変更して開発が継続されています。

Milter APIのサポート

SendmailはMilter APIをサポートしており、このAPIを利用して開発されたプラグインを容易に利用できます。SpamAssassinのような著名なオープンソースのMilterプラグインや、商用Red Hat系製品で標準的に提供されているものも利用可能です。これにより、スパム対策、ウイルス対策、法令遵守、メールアーカイブなど、幅広い機能を追加できます。商用プラグインとしては、「Mailstream Manager」が提供されています。

関連情報

Courier-MTA
Postfix
qmail
XMail
エリック・オールマン(Sendmailの開発者)

外部リンク

Sendmail.org

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