イチゴ

イチゴの概要

イチゴ（苺・覆盆子、英称：Strawberry、学名：Fragaria）はバラ科に属する多年生の草本植物です。食用部分として親しまれるのは、花托に付いた小さな痩果で、これが果物として消費されています。イチゴはその甘味から果物として扱われることが多いですが、草本植物であるため、時には野菜と見なされることもあります。イチゴの通常の可食部分は赤色で彩られていますが、白い品種も存在し、例えば2009年に登録された「和田初こい」が初の白いイチゴ品種として知られています。

概説

イチゴは狭義にはオランダイチゴ属の栽培種であるオランダイチゴ（Fragaria ×ananassa）を指し、流通するイチゴのほとんどはこの系統に属しています。広義にはオランダイチゴ属全体を含み、英語のストロベリーもその一部を意味しています。北半球の温帯地域に広く分布しているほか、南半球のチリやハワイ諸島でも栽培が行われています。また、同じバラ亜科に属するキイチゴ属やヘビイチゴ属を含む場合もあり、これらはノイチゴと総称されることもあります。

イチゴは日本では一般に「苺」と表記され、明治時代から広く栽培されています。その甘酸っぱい風味と美しい見た目から、特に人気を集めており、栄養的にも優れてい ます。特にビタミンCが豊富で、健康維持にも貢献する果物です。

系統と特徴

オランダイチゴ属は基本的な染色体数が7（n=7）で、その倍数体は種類によって異なります。2倍体、4倍体、6倍体、8倍体に分類することができ、近代の栽培イチゴは主に8倍体に属します。イチゴは好光性の種子を持ち、可食部は発達した花托部分であり、表面に見える粒々がそれぞれ果実となっています。このような果実の形態はイチゴ状果（偽果）として知られています。イチゴが持つ独特の香りについては、属名の由来でもあるラテン語の「Fragaria」にも表れています。

主な旬は12月から6月です。イチゴは露地栽培が主流でしたが、温室栽培技術の向上により、通年で流通することが可能になりました。市場で評価される良品は、色が均一で表面の粒が際立ち、光沢があるものです。栄養に関しては、ビタミンCだけでなく、ポリフェノールの一種であるアントシアニンや、抗がん作用のあるエラグ酸も含まれています。

日本における栽培の歴史

イチゴは、江戸時代にオランダ人によってもたらされ、1800年代に一般に普及し始めました。その後、1872年に本格的に栽培が始まり、第二次世界大戦後にはイチゴ栽培が一つの産業として成り立つようになりました。現在、日本のイチゴの生産量は年間約20万トンとされ、そのほとんどが温室栽培から生み出されています。特に、冬から春にかけての一季成りイチゴが主流です。

栽培方法と利用

イチゴの栽培方法にはさまざまな工夫が必要です。美味しいイチゴを育てるためには適温、適湿、そして受粉技術が重要となります。受粉が均等でないと果実の形が不揃いになり、商品価値が下がってしまいます。ハウス栽培では、ミツバチだけでなく、マルハナバチによる授粉も可能です。収穫の際には、色と実の状態を見極め、手作業で行うことが多いです。

イチゴは生食として人気があり、ジャムやデザートの素材としても広く利用されます。また、他の食材と組み合わせて様々な料理にアレンジされています。そのまま食べるほか、アイスクリームや菓子の材料にも多く用いられます。特にショートケーキやタルトなどの洋菓子、いちご大福などの和菓子には欠かせない存在です。

栄養素

イチゴには多くの栄養素が含まれており、特にビタミンCが豊富です。可食部分の約90%は水分で、続いて糖質が約10%を占めています。ビタミンCは他の多くの果物よりも多く含まれ、体の免疫力を高め、健康維持に寄与しています。

現在の流通と未来

現在、イチゴの流通は年末年始に特に注目されることが多くなっています。また、日本国内での生鮮イチゴの輸入も活発で、アメリカやニュージーランドから多く輸入されています。今後もイチゴの栽培方法や品種改良が進む中、持続可能な農業による生産性の向上が期待されます。

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