この道

童謡「この道」解説

「この道」は、作詞：北原白秋、作曲：山田耕筰による、日本の美しい童謡です。1927年に発表されて以来、広く親しまれ、日本の音楽史にその名を刻んでいます。

概要

この歌は、1926年に北原白秋が雑誌『赤い鳥』に発表した詩に、翌年山田耕筰が曲をつけたものです。歌詞は、白秋が晩年に旅した北海道の風景（1-2番）と、母の実家である熊本県南関町から柳川までの道の情景（3-4番）を情感豊かに描いています。藤原義江の歌唱によるレコード発売を機に、全国へと広まりました。2006年には、日本の歌百選にも選ばれています。

歌詞が描く情景

「この道」の歌詞は、日本の原風景を彷彿とさせます。

1-2番：北海道の「あかしやの花」や「時計台」といった要素から、札幌市中央区の北1条通がモチーフであるという説が有力です。しかし、現在この通りは交通量の多い幹線道路となり、当時の面影はほとんど残っていません。
3-4番：熊本県南関町から柳川までの道は、白秋の原風景であり、彼の詩作に大きな影響を与えたと考えられます。

さまざまな場面で

「この道」は、時代を超えて様々な形で人々に親しまれています。

谷本賢一郎による替え歌：麻生太郎首相を風刺した替え歌が話題を呼び、テレビ番組でも披露されました。
防災行政無線：神奈川県川崎市では、防災行政無線の時報として10月から12月にかけて使用されています。
CMソング：日石三菱（現：ENEOS）のCMでCUM'CUM'（木村充揮）が歌い、話題となりました。また、ルートインホテルズやメガネ本舗のCMでも使用されています。
近鉄特急：近畿日本鉄道の特急列車では、近鉄名古屋駅到着時の車内チャイムとして長年使用されていました（現在は変更）。
JRAのCM：2024年からは、JRAのCM「Be with.競馬のチカラを、社会に。篇」で使用されています（唄は今井美樹）。

関連作品

「この道」にインスパイアされた作品も数多く存在します。

映画『いつか来た道』(1959年)：タイトルは「この道」の歌詞に由来し、劇中でも重要な役割を果たします。
映画『この道』：北原白秋と山田耕筰の関係を軸に、童謡「この道」誕生の背景を描いた伝記映画です。
ドラマ『僕の生きる道』：劇中歌として使用されました。
* 映画『0.5ミリ』：劇中歌として使用されました。

「この道」は、日本の美しい風景と、人々の心の奥底にある懐かしさを呼び起こす童謡として、これからも歌い継がれていくでしょう。

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