ごま油

ごま油（ごまあぶら、胡麻油）

ごま油は、ゴマの種子から製造される食用油の一種です。古代より、ゴマは重要な油糧植物として多くの地域で栽培され、それによって生産される油は食料や灯明用として利用されてきました。元々熱帯アフリカを原産とするゴマは、インドでも幅広く栽培され、サンスクリット語においても食用油がゴマと同義語として扱われています。特に、日本、中国、韓国などでは、焙煎されたゴマから作る焙煎ごま油が一般的に利用されています。

製法と種類

ゴマの種子には油脂が50%以上含まれ、この割合は主要な油糧種子の中でも非常に多い部類に入ります。最も簡単な圧搾法でも油を抽出できるため、現代においても圧搾法が主流です。この圧搾法には、生搾り精製油と焙煎油の2タイプが存在します。

焙煎油

焙煎油は高温で抽出され、濃い茶褐色をもつことが特徴です。この油特有の香りは非常に魅力的であり、日本や中国、朝鮮などでは、一般的にごま油の特徴的なものとして広く用いられています。日本では、160-180℃で焙煎する伝統的な方法から、さらに高温である670-680℃の熱風を使った製法が登場し、香ばしさを増してきました。

生搾り精製油

生搾り精製油は、高温で処理せず、通常の油と同じく脱酸、脱色、脱臭などの工程を経て製造されるため、健康志向の人々に支持されています。この油は、欧米においてサラダ油として人気があり、日本では高級な天ぷら油として利用されています。また、無色の「太白胡麻油」などもあり、これらは焙煎を行わずに搾油したものです。

成分と効能

ごま油は脂質がその50%以上と非常に高含量であり、主にオレイン酸とリノール酸から成ります。特にC18の不飽和[[脂肪酸]]が豊富で、健康に良い影響を与えることが知られています。ゴマ油は良質な食用油であり、ヨーソ価が110前後です。

用途

食用としての利用

ごま油はその独自の香味と酸化安定性から、料理や食材の味を引き立てるために広く利用されています。特に中華料理においては、香りを強調するための調味料として使われ、「芝麻油」という名称で知られています。また、ラー油の原料としても重宝されています。日本においては、奈良時代から食用とされ、近代に入ると配給制度下でもごま油が重要な油とされていました。

薬用用途

生搾り精製油は、軟膏や香りの薄さから頭髪油としても使用されています。その作用から、インドの伝統的なアーユルヴェーダではマッサージオイルとして利用されています。また、日本薬局方にも記載されている通り、治療目的でも幅広く用いられています。

文化的な側面

中国の西北地方には「芝麻油」というタイトルの民謡があり、その後、毛沢東を称賛する替え歌に変えられて広まりました。これによりごま油の文化的な価値も広がりました。ごま油は、単なる調理油に留まらない特別な位置付けを持つ存在です。

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