ご飯論法

ご飯論法の詳細

ご飯論法（ごはんろんぽう）とは、質問に対して正面から答えずに論点を逸らす手法です。この手法は、特に政治の場面で見られ、質問者の意図を曲げることで、回答を混乱させたり、ごまかしたりすることが特徴です。例えば、「朝ご飯は食べましたか？」という質問に対し、「ご飯」という言葉を狭く解釈し、「米飯は食べていない」と答えることで、実際にはパンを食べたことを隠すことができます。このように、意図的に論点をずらすことが、この論法の本質です。

起源と発展

ご飯論法の名称は、2018年に法政大学の上西充子教授がTwitterで指摘したことから始まり、ブロガーでマンガ評論家の紙屋高雪によって名付けられました。上西教授が具体的に触れたのは、当時の厚生労働大臣加藤勝信の「働き方改革」法案に関連する答弁でのケースでした。この手法は当時の安倍晋三内閣の答弁スタイルを揶揄する文脈でよく使用され、メディアでも広く報道されました。

ご飯論法は、2018年のユーキャン新語・流行語大賞でトップ10に選出され、翌年には「大辞泉が選ぶ新語大賞」の次点にもなりました。上西教授は、安倍政権の答弁が「明らかなウソを言わないが、本当に答えない」と述べ、国会質問が「騙した者勝ち」になっていると批判しています。ジャーナリストの池上彰も同様に、安倍政権の特徴的な論法と指摘しています。

政治における影響

コラムニストの山口博は、ご飯論法が政治にとどまらず、ビジネスの場面でも見られると言及しています。また、2018年の世論調査によれば、首相の説明は「信用できない」と回答した人は7割にも達し、ご飯論法の持つ誠実さの欠如が問題視されていました。さらに、Jタウンネットが実施したアンケートでは、ご飯論法が「流行していない言葉」として第2位に選ばれたこともあります。

2018年12月には、産経新聞のコラムでもご飯論法の受容について疑問が呈されました。特に、過去の流行語大賞との比較を通じて、政治的な意味合いを持たせようとしているようだとの見解が示されました。

安倍政権以降の現況

上西教授は、安倍政権以降にも新たな政権のあり方に対して独自の批判を行っています。菅義偉内閣の答弁スタイルについては、「やぎさん答弁」と表現し、質問に対して用意された答えをはなから返す姿勢を問題視しています。これにより、質疑応答の場はさらなる混乱を招く職場環境を生んでしまったといえるでしょう。

結論

ご飯論法は日本の政治における重要な現象であり、この手法を用いることによって、質問の意図を無視したり逃げたりすることで、自らの立場を守ろうとする傾向は今後も続く可能性があります。このような手法の認識と理解は、より透明性のある政治を実現するために不可欠です。

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