ジャバラ

ジャバラ：北山村を代表する柑橘類

和歌山県東牟婁郡北山村を原産地とするジャバラは、ユズや九年母などの自然交雑種から生まれたミカン属の柑橘類です。その強烈な酸味と苦味が特徴で、古くから北山村の住民に親しまれてきました。近年では、その独特の風味と健康効果への期待から、全国的に注目を集める特産品となっています。

ジャバラの歴史と栽培

ジャバラの栽培は、遅くとも江戸時代から北山村で続けられてきました。主に庭先などで小規模に栽培されていましたが、1979年に品種登録され、村を挙げての生産体制が整えられていきます。しかし、1997年には種苗法上の品種登録が失効。その後も、ジャバラの生産は低迷が続きました。

転機となったのは2001年。インターネット販売の開始により、ジャバラの需要が急増したのです。特に、花粉症症状の改善に効果があるとされる成分が含まれているとの報告が口コミで広がり、人気が爆発的に高まりました。これを受け、北山村以外の地域でもジャバラの栽培が開始され、現在では和歌山県を中心に、三重県、愛媛県、静岡県、高知県などで生産されています。

北山村では、江戸時代から正月料理にジャバラの絞り汁を食酢の代わりに用いるなど、生活の中に深く根付いた柑橘類でした。

ジャバラの利用と加工

ジャバラの強い酸味は、加工品に向いています。北山村では、収穫されたジャバラのほとんどを村営の加工場で処理し、ジュース、サイダー、ワイン、ポン酢、ジャム、ゼリー、マーマレードなど、多様な加工品を製造しています。その種類は30種類にも及ぶと言われています。果皮はパウダー状にして販売され、幅広い用途で活用されています。

ジャバラの果汁には、ナリルチンなどのフラボノイドが含まれており、花粉症症状の改善効果が期待されていることから、健康志向の高い消費者に支持されています。その独特の風味は、料理や飲料に加えることで、アクセントとなり、新たな食体験を提供してくれます。

ジャバラの現状と未来

2010年の日本のジャバラ収穫量は119.3トンで、その84%を和歌山県が占めています。北山村は、ジャバラの生産・加工・販売を通じて、地域経済の活性化に貢献しています。しかし、生産量の増加に伴い、安定的な供給体制の構築や、新たな加工品の開発、ブランド力の強化などが課題となっています。

ジャバラは、単なる柑橘類という枠を超え、地域活性化の象徴、そして健康を意識する人々にとって魅力的な素材として、その存在感を増しています。今後も、その高いポテンシャルを活かし、さらなる発展が期待されます。

参考文献

* 三宅正起, 稲葉伸也, 前田久夫, 伊福靖「ジャバラとユズの搾汁と品質特性について」『日本食品工業学会誌』第37巻第5号、日本食品科学工学会、1990年、346-354頁、doi:10.3136/nskkk1962.37.5_346。

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