北山村

和歌山県唯一の村、北山村

北山村は、和歌山県の最東端に位置し、紀伊半島の山間部に広がる小さな村です。周囲を奈良県と三重県に囲まれているため、和歌山県でありながら、地理的には飛び地となっているという珍しい特徴を持っています。県内の他の村が平成の大合併で姿を消す中、北山村は合併することなく、独自の歩みを続けています。

地理

村の約97%が山林地帯で、可住地はわずか3.72平方キロメートルしかありません。北山川沿いに集落が点在しており、大沼、下尾井、竹原、七色、小松の各地区が、国道169号線で結ばれています。

各地区の詳細

大沼: 村の中心部で、役場や郵便局、農協があります。北山小学校もこの地区に位置しています。
下尾井: 大沼と並ぶ大きな集落で、水田も見られます。道の駅おくとろもこの地区にあります。
竹原: 三重県熊野市と隣接しており、奥瀞橋で結ばれています。
七色: 山の斜面にある集落で、七色ダムに近い場所に位置しています。
小松: 村の西端に位置し、戸数は少ないですが、林業に従事する住民が多いです。

歴史

近世

江戸時代には、北山川を利用した木材の流送が盛んでした。この地域は紀州藩新宮領に属し、新宮との結びつきが強かったことが、現在の飛び地の形成につながっています。慶長年間には、一揆も発生しています。

近代

廃藩置県後、新宮が和歌山県に入った際、北山村も和歌山県に属することを望み、現在の飛び地となりました。1889年の町村制施行以来、一度も合併することなく現在に至ります。

戦後

ダム建設や道路整備により、三重県熊野市との結びつきが強まりました。一時は三重県との合併も検討されましたが、住民投票の結果、和歌山県に残ることになりました。

産業

第一次産業

北山村の特産品である「じゃばら」は、花粉症に効果があるとされ、村の基幹産業となっています。もともとは売れ行きが伸び悩んでいたものの、インターネット販売とモニター調査をきっかけに、需要が急増しました。

第三次産業

北山川を利用した観光筏下りが有名です。かつては木材を運ぶために利用されていた筏が、現在は観光客を楽しませています。北山川は難所も多く、筏師の技術が重要でした。

情報・通信

マスメディア

テレビ放送は和歌山県域の放送局に加えて、三重県域の放送局も視聴できます。また、有線でFM三重を聴くことができます。

ライフライン

市外局番は新宮市と同じで、郵便番号は以前三重県と同じでしたが、現在は和歌山県のものに変更されています。

教育

村内には、北山小学校と北山中学校が併設されています。高等学校や大学はありません。

交通

鉄道は通っておらず、最寄りの駅はJR紀勢本線熊野市駅です。村内には、北山村営バスが運行していますが、本数は少ないです。国道169号線が村内を東西に走っています。

観光

名所・旧跡

宝蔵寺：熊野西国三十三箇所番外札所
下尾井遺跡：縄文時代の遺跡
道の駅おくとろ、瀞峡、奥瀞、おくとろ公園、おくとろ温泉、七色ダムなどがあります。

広報

かつては「村ぶろ」という村営の公式サイトが運営されていましたが、現在はTwitterで情報発信を行っています。

沿革

2007年に「村ぶろ」が開始され、2018年に閉鎖されました。Twitterでの情報発信は、2011年から行われています。

北山村は、その独特な地理的特徴と歴史、そして豊かな自然の中で、独自の文化を育んできた村です。特産品のじゃばらや観光筏下りを通じて、その魅力を発信し続けています。

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