だいち2号

地球観測衛星「だいち2号」について

「だいち2号」（陸域観測技術衛星2号、ALOS-2）は、日本の宇宙航空研究開発機構（JAXA）によって開発された先進的な地球観測衛星であります。これは、従来の「だいち」シリーズの後継機にあたるもので、特に地図作成、地域観測、災害状況の把握、資源調査など、幅広い用途に対応することを目的に設計されています。これを担当したのは三菱電機であり、2014年5月24日にH-IIAロケットにより打ち上げられました。

開発の背景と経緯

陸域観測においては、連続的な観測データの累積が欠かせません。しかし、前代の「だいち」は大型衛星であり、複数のセンサーを搭載することで開発と運用においてリスクが高い状況がありました。そのため、JAXAは今後の陸域観測ミッションにおいては、中小型衛星を利用した特化型センサーを搭載する方針へと転換しました。この新たな方向性は、2006年に発表され、地上分解能の向上を図るため「だいち後継機」として4機体制の観測計画が提案されました。

その後、災害監視衛星としての機能を強化し、さらに幅広い用途に応じられる形にするために「だいち2号」という名称が与えられました。2008年には、この新衛星の開発が正式に進められ、様々な機関や委員会の承認を受けながら、開発に着手されました。

運用と成果

「だいち2号」は、2014年に運用を開始し、すぐに注目を集めることとなりました。特に、同年6月には、世界最高速度でのデータ伝送を成功させ、観測データの迅速な送信が可能となりました。続いて、身近な地域の画像データを公開し、様々な災害監視や土地利用の研究に利用されることとなりました。また、観測データの定期配布が始まると、一般企業や防衛省などで活用が進みました。

例えば、2015年には、高解像度データの利用が防衛省に提供され、災害時の情報収集に役立てられることが期待されています。また、気象庁との連携による火山の緊急測定など、公共の安全確保へと寄与する活動も行っています。

特徴と性能

「だいち2号」には、Lバンド合成開口レーダー（PALSAR-2）が搭載されており、これは植生を透過し、地表面を高精度で観測する能力を有しています。特に、地震による地殻変動を2センチの精度で測定する能力は、他の衛星には見られない特異な性能です。運用では昼夜を問わず観測できるため、災害発生時にも迅速なデータ提供が強みとなります。

さらに、地上局へのデータ伝送速度は800Mbpsに達し、短時間でのデータ提供が可能です。これにより、災害時の緊急情報提供にも応じられる体制を構築しています。このように、容量だけでなく、観測の精度や速度においても優れた性能を持つ「だいち2号」は、日本の科学技術の演出の一端を担っています。

今後の展望

すでに「だいち2号」は成功を収めており、2024年にはその後継機である「だいち4号」の打ち上げが計画されています。この新しい衛星は、より高い性能を持つことが期待されており、継続的な観測体制のもと、進化し続ける地球観測技術の一翼を担うことでしょう。「だいち2号」から受け継がれる技術基盤が、今後の観測ミッションにどのように活かされるか、大いに注目です。

もう一度検索