どす恋ジゴロ

どす恋ジゴロ：相撲と情事の異色コラボレーション

平松伸二氏による漫画『どす恋ジゴロ』は、1997年から2002年にかけて『ビジネスジャンプ』で連載された人気作品です。その後、続編となる『嗚呼どす恋ジゴロ』が『週刊漫画ゴラク』で2004年から2005年にかけて連載されました。

本作の主人公は、関脇の力士・恋吹雪（こいふぶき）、本名椿藤十郎です。青森県出身で、柴間田部屋所属。108キロという恵まれた体格と卓越した相撲の技術を持ち、端正な顔立ちから男女問わず人気を集めています。しかし、恋吹雪はただの人気力士ではありません。彼は、性交のテクニックにも長けており、彼と一夜を共にした女性たちは皆、艶を増し幸せになると言われています。芸能人など、各界で活躍する女性たちが、高額な報酬を支払って彼と一夜を過ごすのです。

恋吹雪の性交におけるモットーは「土俵でもベッドでも手を抜かない」。毎回、女性と関係を持つ前に必ず四股を踏むという徹底ぶりです。一見、軽薄に見える彼ですが、実はケンカっ早く素行の悪さから更生を目的として角界入りしたという複雑な過去を持っています。その裏には、三味線の師匠である母親と、博打好きの旅役者である父親という、対照的な両親の存在があります。

恋吹雪の師匠である柴間田親方は、関取時代の四股名が岩鉄山。恋吹雪の奔放な行動に手を焼いていますが、同時にその胆力の強さにも驚かされています。過去には、ヤクザの日本刀を白刃取りで折るというエピソードも存在します。

本作には、平松伸二氏のプロレス漫画『リッキー台風』の主人公であるリッキー大和がゲスト出演するエピソードも存在し、作中でも有名なプロレスラーとして描かれています。

『どす恋ジゴロ』は、相撲と性愛という一見すると対照的な要素を大胆に融合させた、異色の作品です。毎回のエピソードの最後は、オリジナルの相撲甚句で締めくくられるという演出も特徴的です。連載中は『ビジネスジャンプ』の読者アンケートで上位を獲得するなど高い人気を誇りましたが、コミックスの売り上げは芳しくありませんでした。しかし、平松氏自身は本作を「傑作」「一番好きな自分の作品」と評しており、評論家の吉田豪氏もその高い評価を支持しています。

『どす恋ジゴロ』は、単なる性的な描写にとどまらず、女性たちの心の機微や、恋吹雪自身の葛藤、そして相撲界の裏側など、多様な要素が複雑に絡み合う、奥深い作品となっています。独特のユーモアとシリアスな場面がバランス良く配置され、読者を飽きさせない構成となっています。

続編の『嗚呼どす恋ジゴロ』も、前作の世界観を継承しつつ、新たな展開を見せています。平松氏の作品世界の一端に触れたい方、相撲や性愛をテーマにした異色作品に興味のある方には、ぜひ読んでいただきたい作品です。

主な登場人物

恋吹雪（こいふぶき）/椿藤十郎（つばき とうじゅうろう）: 主人公の関脇力士。
柴間田親方: 恋吹雪の師匠。
* リッキー大和: ゲスト出演するプロレスラー。

書誌情報

『どす恋ジゴロ』は集英社よりヤングジャンプ・コミックス・BJとして全4巻で刊行されました。また、『嗚呼どす恋ジゴロ』は日本文芸社よりニチブンコミックスとして全2巻で刊行されました。両作品とも、現在でも中古市場などで入手可能です。 独特の世界観と魅力的なキャラクター、そして意外な人気と評価の歴史を持つ『どす恋ジゴロ』は、漫画史上に残る異色の傑作と言えるでしょう。

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