リッキー台風

プロレス漫画の金字塔『リッキー台風』：熱き闘志と個性豊かなキャラクターたち

平松伸二氏による人気プロレス漫画『リッキー台風』は、1980年から1981年にかけて『週刊少年ジャンプ』で連載されました。力道山とザ・デストロイヤーの試合をリアルタイムで観戦した世代である作者の熱きプロレス愛が、この作品に色濃く反映されています。連載当時、作者は全日本プロレスと新日本プロレスを取材。全日本プロレスでは入門の体でリングに上がるほどの熱の入れようでした。その情熱が、躍動感あふれる作風と、リアルなプロレス描写に繋がっています。

ストーリー：アメリカから来たレスラー、大和の日本マット挑戦

物語は、アメリカから来日したレスリングの一団から始まります。その中にいたのは、ルー・テーズ直々にレッスンを受けたプロレスラー、リッキー大和。彼は、日本マットの創世主である力王岩の十六回忌興行にテーズの付き人として参加していました。興行中、レスラーのゴリラーマンが花束嬢の菊奴を襲おうとした際に、大和は乱入。その行動がきっかけで、日本マットでのデビューを決意します。一方、カール・ゴッチはアントニオ猪木に、期待の新人ナルシス・シュトラウスの新日本プロレスへのデビューを依頼します。

魅力的な登場人物たち：個性豊かなレスラーと個性的なキャラクターたち

本作には、数々の個性豊かな登場人物が登場します。主人公のリッキー大和は、日本人レスラーである故力王岩とアメリカ人実業家の間に生まれた、女好きで自信家のレスラー。NWA、AWA、WWWFの世界王座制覇を夢見ています。ライバルであるナルシス・シュトラウスは、ゴッチが可愛がる新人で、当初はナルシストで傲慢な性格でしたが、敗戦を経験することで成長を遂げていきます。

テリー・ブロンコは、リッキーとライバル関係にあったものの、後に親友となるレスラー。ヒロインの志摩京子（菊奴）は、物語序盤で重要な役割を果たします。さらに、ジャイアント馬場、アントニオ猪木、カール・ゴッチといったレジェンドレスラーも登場し、物語にリアリティを与えています。リッキーの父である力王岩は、スーパーヒーローとして活躍したレスラーでしたが、悲劇的な最期を迎えます。彼の存在は、リッキーの物語における重要な背景となっています。

また、リッキーが通う「弱肉強食」が校風の戦国学園では、将軍とその四天王である山下、北若、李、そして夜叉姫といった個性的なキャラクターたちが登場し、リッキーと激しい戦いを繰り広げます。

トーナメント編では、ブラック・タイガー、エル・コンドル、ザ・マミイラ、ザ・アラジン、サンディ・エマヌードル、マイク・ジョナサン、ボブ・ルーインといった個性的なレスラーたちが登場。特に、サンディ・エマヌードルは、女子レスラーでありながら、男子レスラーたちと互角に渡り合う実力と魅力を持つキャラクターとして人気を博しました。

その他、モンスター・ゴリラーマンやブラッキー、AWAジュニア王者クラーク・ロビンソンなど、個性豊かなキャラクターが物語を彩ります。クラーク・ロビンソンは、元宇宙飛行士候補生という異色の経歴を持つレスラーで、フランク・ゴッチの「マッスルコントロール」を駆使する強豪です。

技の数々：迫力満点のプロレス技

本作では、指四の字固め、ローリング・バックドロップ、ローリング・ドラゴンスープレックスなど、数々のプロレス技がリアルに描写されています。これらの技は、当時のプロレス界を彩った技を参考に描かれており、プロレスファンにとって見どころの一つとなっています。

続編と関連作品：物語は『リッキー・ザ・レディ』へ

『リッキー台風』には、短編作品『ミスター☆レディー』や『どす恋ジゴロ』といった関連作品があり、続編として『リッキー・ザ・レディ』が刊行されています。『リッキー・ザ・レディ』では、リッキー大和の娘である桃子が主人公として活躍します。

『リッキー台風』は、プロレスへの深い愛情と、魅力的なキャラクター、そして迫力満点のプロレス描写が見どころの作品です。単行本はジャンプコミックス全9巻、ジャンプコミックスセレクション全5巻で刊行されています。

もう一度検索