なみだの操

『なみだの操』 - 殿さまキングスの名曲

『なみだの操』（なみだのみさお）は、1973年11月5日に殿さまキングスがリリースした4枚目のシングルです。この曲は、他のお笑いグループであるぴんからトリオの大ヒット曲『女のみち』に対抗する形で発表されました。

殿さまキングスは当時のコミックバンドの代表格で、特に「西のぴんから、東の殿キン」という評判がありました。この楽曲は、ビクターレコードの音楽ディレクターである斎藤豊と鶴田哲也によって企画されました。彼らは、ぴんからトリオのヒットに刺激を受け、同様のスタイルで演歌のヒットを狙ったのです。

曲のメロディは、発売の約半年ほど前に完成していましたが、同時期に『女のみち』が長くヒットしていたため、リリースを待たせました。作曲者の彩木雅夫は、あえて古風なアレンジを施しており、イントロには『青い山脈』をイメージした要素が含まれています。歌詞はレコーディング当日まで完成せず、作詞者の千家和也は遅刻してまでの制作に関わりました。初期には『女の操』というタイトルが考えられていましたが、その直接的な表現に対する懸念から『なみだの操』に決定されました。

この曲が発売された当初、アイドルたちが様々なイベントでメディアに登場し売り出される一方で、古風な演歌が登場し、多くの人々に驚きを与えました。発売から1か月後、殿さまキングスは札幌でキャンペーンを行い、全てのレコード店で『なみだの操』が売上ランキングの1位に輝いているのを目にしました。その後、この楽曲は日本中のメディアや有線放送で頻繁に流れるようになり、人気が広がっていきました。

しかし、オイルショックの影響でレコード盤の材料が不足し、殿さまキングスのメンバーたちはビクターの営業部員と共に富山県の原料メーカーへと足を運びました。発売から約3か月後には、オリコンチャートのトップ10に姿を現し、6週後には第1位を獲得しました。その後も9週連続で1位をキープし、最終的な売上は197.3万枚に達しました。興味深いことに、レコード一枚あたりの印税は僅か1円であったため、実際に受け取ったのは250万円のみでした。

『なみだの操』は『女のみち』と対をなす楽曲として扱われることが多く、いずれの曲も女性の描写において時代を逆行するような内容を含んでいます。このような歌詞は、今となっては死語に近い表現であり、その後の演歌のスタイルに大きな影響を与えてきました。

収録曲

1. なみだの操（3分48秒） - 編曲：藤田はじめ
2. 裏町人情（3分50秒） - 編曲：竹村次郎

カバーアーティスト

• - 青江三奈 - アルバム『女のなみだを唄う』（1974年収録）
• - 藤圭子 - アルバム『命火』（1974年収録）
• - 天童よしみ - アルバム『天童節昭和演歌名曲選 第十六集』（1994年収録）
• - 花村菊江 - ベスト・アルバム『スター☆デラックス 花村菊江 潮来花嫁さん』（2012年収録）
• - はやぶさ - アルバム『歌謡カヴァーソングス』（2013年収録）
• - 三丘翔太 - アルバム『翔太のお品書き』（2016年収録）
• - 八代亜紀 - アルバム『激唱 八代亜紀 流行歌I』（2016年収録）
• - 氷川きよし - アルバム『新・演歌名曲コレクション7 -勝負の花道-』（2018年収録）
• - フランク永井 - アルバム『フランク永井 ザ・カバーズ -歌謡曲・演歌-』（収録）

このように『なみだの操』は、殿さまキングスの顔とも言える楽曲として、今でも多くの人に親しまれています。その影響力は、ただ一つのヒット曲に留まらず、後の世代のアーティストにも受け継がれていくことでしょう。

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