はるみ

はるみ：濃厚な甘みと食べやすさが魅力の柑橘

「はるみ」は、ミカン科の常緑樹で、柑橘類の一種です。1999年に品種登録された比較的新しい品種で、その特徴的な風味と栽培の難しさから、柑橘愛好家の間で高い関心を集めています。

はるみの誕生と特徴

「はるみ」は、「清見」と「ポンカンF-2432」を交配して育成されました。「シラヌヒ」も同様の交配によって生まれた品種ですが、使用されたポンカンの系統が異なるため、異なる特性を持っています。

その果実は、180～200グラム程度の大きさで、ややごつごつとした手触りです。皮は剥きやすく、種子が少ないことも特徴です。じょうのう膜も薄いため、そのまま食べても美味しくいただけます。濃厚な甘みと、プチプチとした食感の果肉が、多くの人々を魅了する理由です。親品種であるポンカンよりもさらに味が濃く、より豊かな風味を楽しめます。

栽培の難しさ

「はるみ」の栽培は、容易ではありません。最大の課題は、極めて強い隔年結果性です。表年（豊作の年）は着果量が多く、摘果を怠ると樹勢が衰え、酸味が強く小さな実が多くなります。一方、裏年（不作の年）は着果量が少なく、糖度が低く品質の悪い大きな実が多くなる傾向があります。

さらに、鳥害や浮き皮、水腐れなどの問題も発生しやすく、これらのリスクを管理することが、安定した収穫を得る上で不可欠です。これらの要因から、柑橘類の商業栽培において「はるみ」は難易度が高い品種とされています。

生産地と収穫量

2010年の日本の「はるみ」の収穫量は4,586トンでした。主な産地は愛媛県（30％）、広島県（22％）、静岡県（14％）と、西日本を中心に生産されています。近年は、生産量の増加や需要の高まりから、栽培地域は拡大しつつあります。

独自の剪定方法：早川式坊主枝剪定

「はるみ」や近縁品種の「シラヌヒ」の栽培においては、神奈川県小田原市で考案された「早川式坊主枝剪定」が用いられることがあります。この剪定方法は、開心自然形を基本としつつ、主枝を途中で切り返し、20～30センチメートルの坊主枝にすることで、結果枝を取り除き、発育枝の発生を促進します。これにより、樹勢の低下を防ぎ、安定した収穫を確保することを目指しています。予備枝として二年枝を設定するなど、樹勢の維持にも配慮した、高度な技術が求められる剪定方法です。神奈川県を中心に普及しており、生産現場において重要な役割を果たしています。

まとめ

「はるみ」は、濃厚な甘みと食べやすさ、そして独特の栽培の難しさという魅力的な特徴を持つ柑橘です。その栽培には高度な技術と知識が求められますが、生産者たちの努力によって、多くの人々にその美味しさが届けられています。今後も、その栽培技術の向上や新たな生産地の開拓などを通して、より多くの人々が「はるみ」の美味しさを味わえるようになることが期待されます。

もう一度検索