ひみつシリーズ

学研まんがひみつシリーズ：知識への扉を開いた学習まんがの金字塔

学研まんがひみつシリーズは、1972年に学習研究社（現・学研ホールディングス）から刊行された児童向け学習漫画シリーズです。「○○のひみつ」というタイトルが特徴で、子供たちが様々なテーマを楽しく学べるように工夫されています。2003年からは『新ひみつシリーズ』として、学研教育出版、学研プラスによって刊行が引き継がれています。

シリーズの概要

ひみつシリーズは、その名の通り、子供たちが興味を持つ様々な事柄の「ひみつ」を解き明かすことをテーマにしています。内容は、漫画を通して学習題材を解説するという形式で、各ページの余白には「まめちしき」という関連記事が掲載されています。2013年時点で、旧シリーズと新シリーズを合わせて累計発行部数は2300万部を超えており、その人気は衰えることを知りません。

登場人物は、解説役の博士や兄姉、そして学習する側の小学生の男女2人組、マスコットキャラクターという構成が一般的です。この形式は、子供たちが親しみやすく、物語に入り込みやすいように考えられています。

学習書業界への影響

ひみつシリーズの成功は、学習書業界に大きな影響を与えました。小学館の『ふしぎシリーズ』や集英社の『ガクマンシリーズ』など、他社も追随して学習まんが書籍のシリーズを立ち上げました。ひみつシリーズは、学習まんがというジャンルを確立し、その後の学習書に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

キャラクターデザインと装丁

背表紙や「まめちしき」に登場する虫眼鏡を下げた少年のマスコットキャラクターは、吉田迪彦氏がデザインした「ピッポくん」です。「ピッ」と閃いて「ポッ」とわかるという命名の由来も、子供たちに知識をわかりやすく伝えるというシリーズのコンセプトを表しています。

旧版は、背表紙のタイトル文字が赤箔地に白抜きでしたが、1990年7月頃から白地に赤箔の文字にデザインが変更されました。1992年には、新装丁を引き継いだ「新訂版」が登場し、旧版の34タイトルが新訂版として発行されました。

新訂版では、白地を基調とした新たなイラストを取り入れたカバーデザインとなり、本体表紙もカラーでコーティングされるなど、装丁が大幅にリニューアルされました。内容も時代に合わせて改訂され、同じタイトルでも全編が描き直されたものもありました。

シリーズの変遷

ひみつシリーズは、2003年に『新ひみつシリーズ』が刊行された後も併売されていましたが、その後、旧シリーズは全て絶版となり、『新ひみつシリーズ』に完全移行しました。また、2003年から2012年にかけて、『大人の科学マガジン』誌上にて「大人のひみつシリーズ」が連載されました。

テーマの多様性

ひみつシリーズは、初期には科学（理系分野）をテーマにしたものが中心でしたが、後に犬や猫、カブトムシなど細分化されたテーマや、漢字や記号、年中行事、歴史など人文科学・社会科学（文系分野）を扱った作品も登場しました。シリーズ末期には、原子力や石油などのエネルギー関連、環境問題、パンやインスタントラーメンといった食品関連のジャンルまで扱われるようになりました。

『事典シリーズ』では『ひみつシリーズ』より専門的な内容を扱い、〈新ひみつシリーズ〉では囲碁や将棋、サッカーといった趣味のジャンルも取り上げられています。算数、理科、漢字学習をテーマとしたものも刊行されました。

姉妹作品

学研まんがには、『ひみつシリーズ』以外にも、事典シリーズ、早わかり入門シリーズ、算数ひみつシリーズ、理科ひみつシリーズ、漢字ひみつシリーズ、伝記シリーズ、日本史人物シリーズ、名作シリーズ、教科書まんが事典、まんがひみつ文庫（まんがでよくわかるシリーズ）、科学ふしぎクエストなどの姉妹作品があります。

執筆漫画家

執筆作家には、内山安二氏、よこたとくお氏、藤木輝美氏、飯塚よし照氏など、『科学と学習』で活動する漫画家が多く参加していました。石ノ森章太郎氏や方倉陽二氏といった著名な漫画家も執筆しています。

電子書籍

一部作品は「もう一度見たい! あのころの学研」シリーズとして旧版が復刻され、学研bookbeyondにて電子書籍が配信されています。

まとめ

学研まんがひみつシリーズは、子供たちの知的好奇心を刺激し、知識への扉を開く学習まんがの金字塔です。その多様なテーマとわかりやすい解説は、多くの子供たちに愛され、学習まんがというジャンルを確立しました。現在でも、電子書籍などで手軽に読むことができ、子供たちの学習をサポートし続けています。

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