ブタン

ブタンについて

ブタン（英: butane）は、炭素数が4つの直鎖状アルカンに分類される化合物です。無色で特有の不快な臭いがあり、常温では気体として存在します。この物質は、n-ブタンとも呼ばれ、イソブタンという構造異性体も存在します。ブタンは可燃性を持ち、圧縮することで液化して運搬や利用が可能です。自然界では、石油や天然ガスの中に含まれています。

この物質は1849年にエドワード・フランクランドによって発見されました。名称の由来は、酪酸の「but」とギリシャ語の数字を示す「ane」から来ています。ブタンは、酸素との反応によって燃焼し、二酸化炭素と水を生成しますが、酸素が不足すると不完全[[燃焼]]が起き、通常はすすや一酸化炭素が発生します。また、n-ブタンは無水マレイン酸の製造に使われる原料でもあり、その過程でシリカゲルに担持されたリン酸バナジウムが触媒として利用されます。

化学的には、ブタンはフリーラジカル的な塩素化反応にかかると、1-クロロブタンや2-クロロブタンなどの塩素化物に変化します。この変化に伴って生じる生成物の比率は、C-H結合の結合エネルギーの相違によって説明されます。具体的には、末端炭素と内部炭素の結合解離エネルギーは、それぞれ425 kJ/molおよび411 kJ/molであり、内部炭素の方がわずかに解裂しやすいことが示されています。

利用方法

ブタンは、日常生活や工業で多岐にわたって利用されています。家庭では主にライターの燃料やエアロゾルスプレーの噴射剤として使われます。また、液化石油ガス（LPG）としてはプロパンと混合され、自動車用の燃料オートガスにも使用されます。一般的に、LPGのオートガスは冬季を除いてブタンとプロパンの比率を8:2にしています。調理やキャンプなどの手軽な用途では、ブタンを充填したガス缶が市販されています。

さらに、2009年にはブタンを使用したエンジン（ホンダ・ピアンタFV200など）が開発されました。また、冷媒としての利用も提案されており、特にフロンガスの代替品として注目されています。最近では国産ノンフロン冷蔵庫にイソブタンが冷媒として使われいることもあります。

工業用途では、石油化学の分野において、蒸気クラッキングの原料としてブタンが利用されています。ブタンの沸点は-0.5℃と低いため、寒冷地域での使用には注意が必要です。寒冷地では、ブタンが気化しないことがありますので、プロパンまたはイソブタンの混合物が使われることが一般的です。オートガスでも、寒冷期にはプロパンの割合を増やして使用されます。

ブタンはその性質から、さまざまな分野で重要な役割を果たしている化合物です。

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