ベルスタ

ベルスタ（versta）は、ロシア帝国などでかつて用いられていた長さの単位です。日本語では「露里（ろり）」と訳されることもあります。この単位は、ロシアの歴史や文化を語る上で重要な要素の一つです。

ベルスタの定義と換算

1ベルスタは、500サージェンという単位に相当します。国際単位系（SI）に換算すると、約1066.8メートルとなります。これは、キロメートルにすると約1.067kmであり、およそ1キロメートル強の距離を表します。ベルスタは、ロシアの広大な国土における距離感を把握する上で重要な役割を果たしました。

ベルスタの単数形と複数形

ベルスタ（верста）はロシア語では単数形であり、複数形はビョールスティ（вёрсты）となります。しかし、日本語では複数形であっても「ベルスタ」と訳すことが一般的です。英語などのいくつかの言語では、複数形の生格であるビョールスト（вёрст）に由来する語が単数形として使用されています。例えば、英語では単数形がverst、複数形がverstsとなります。

ベルスタが用いられることわざ

ベルスタは、現在でもロシアのことわざの中で使用されています。これらのことわざは、ベルスタがロシアの人々の日常生活や文化に深く根付いていることを示しています。

Бешеной собаке семь вёрст не крюк

これは「狂犬は7ヴェルスタなどものともしない」という意味で、狂った犬はどんなに遠い距離でも気にせず走り回る様子を表しています。このことわざは、困難な状況でも果敢に進むべきだという教訓や、ある目標に向かって突き進む際には距離を気にしないというニュアンスを含んでいます。このことわざにおけるベルスタは、単に距離を示す単位ではなく、困難や障害の象徴としても捉えられます。

Слышно за версту

これは「1ヴェルスタの距離からも聞こえる」という意味です。このことわざは、音が遠くまでよく聞こえることや、噂や評判があっという間に広まる様子を表現しています。ベルスタという単位が、音の届く範囲を示す尺度として使われていることがわかります。

これらのことわざは、ベルスタが単なる距離の単位としてだけでなく、ロシアの文化や生活に深く根付いた言葉であることを示しています。ベルスタという言葉を通して、ロシアの歴史や文化、人々の価値観を垣間見ることができます。

ベルスタは、現代では日常生活で使用されることはほとんどありませんが、歴史的な文脈やことわざの中にその名残を見ることができます。これらのことわざは、ベルスタがロシアの文化に深く根付いている証拠であり、その歴史的意義を物語っています。ベルスタを理解することは、ロシアの文化や歴史を理解する上で非常に重要な要素と言えるでしょう。


このように、ベルスタは単なる距離の単位にとどまらず、ロシアの文化や歴史、言語に深く根ざした興味深い存在です。その歴史と文化的な側面を理解することで、より深くロシアの世界を理解することができます。

もう一度検索