ヤブサメ

ヤブサメ (藪雨/藪鮫)

ヤブサメ（学名: Urosphena squameiceps）は、スズメ目ウグイス科に分類される小型の鳥類です。その生息域は広く、東アジアから東南アジアにかけて分布しています。

分布

ヤブサメは、タイ、韓国、北朝鮮、中国、日本、ベトナム、ミャンマー、ラオス、ロシア東部といった広範囲に分布しています。繁殖期には、中国北東部や朝鮮半島で繁殖し、冬季には東南アジアで越冬します。日本では、夏季に繁殖のために飛来する夏鳥として知られています。

形態

全長は約10.5cmと小柄で、全身はオリーブ褐色の羽毛で覆われています。頭部は暗褐色で、目の上には明瞭な明るい色の眉斑があります。また、嘴の基部から目を通り後頭部にかけて黒い過眼線が走っています。尾羽は短く、全体的に地味な印象を受けます。

生態

ヤブサメは、森林や藪などの比較的低い場所に生息し、茂みの中で生活することが多いです。鳴き声は高く、「シシシ…」と聞こえる特徴的な音を出すため、姿が見えなくてもその存在に気づくことがあります。これは虫の鳴き声に似ているとも言われます。

食性は動物食で、灌木や茂みの中、地上を跳ね回りながら、昆虫類やクモ類などの節足動物を捕食します。常に地面に近い低い場所で活動します。

繁殖形態は卵生で、木の根元などに落ち葉などを組み合わせてお椀状の巣を作り、そこに卵を産みます。主に高木が多く暗い林の中で、倒木や岩などが散在する場所や斜面で繁殖しますが、ササ類の多い明るい林でも繁殖を行うことがあります。

人間との関係

ヤブサメは、森林や藪に潜んでいることが多く、その姿を見かけることは稀です。しかし、特徴的な鳴き声によってその存在が認識されることがあります。そのため、自然観察の際には鳴き声を手がかりに探すのが良いでしょう。

参考文献

『原色ワイド図鑑4　鳥』、学習研究社、1984年、31頁。
『小学館の図鑑NEO　鳥』、小学館、2002年、92頁。

関連項目

日本の野鳥一覧

外部リンク

2007 IUCN Red List of Threatened Species
* BirdLife International 2012. Urosphena squameiceps. In: IUCN 2013. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2013.2.

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