ウグイス科

ウグイス科（Cettiidae）について

ウグイス科は、スズメ目ウグイス上科に属する鳥類の科で、アフリカ、ユーラシア、太平洋諸島に生息しています。かつては大きなウグイス科（Sylviidae）に含まれていましたが、その多系統性が明らかになり、いくつかの科に分割されました。現在のウグイス科は、Alström（2006）の研究に基づき、近縁な属をまとめた新しい科として定義されています。

系統と分類

ウグイス科は、ウグイス上科の中でエナガ科やメボソムシクイ科と近縁です。かつては大きなウグイス科に分類されていたため、その分類は複雑でした。しかし、分子系統解析により、ウグイス科は単系統のグループであることが確認されました。

上位系統

ウグイス科はウグイス上科に属し、エナガ科やメボソムシクイ科と近い関係にあります。以前は大きなウグイス科（Sylviidae）の一部でしたが、多系統であることが判明し、分割されました。現在のウグイス科は、Alström（2006）によって、近縁な属をまとめた新しい科として確立されました。

かつてはウグイス科に含まれていたスナチムシクイ（Scotocerca）は、現在はウグイス科の姉妹群とされています。また、サザナミムシクイ（Graueria）やヒメヒタキ属（Erythrocercus）、コバシミドリムシクイ（Hylia）、カラハタオリ（Pholidornis）なども、ウグイス科との系統関係が議論されています。

下位系統

かつては、ウグイスはHoreites属、ヨーロッパウグイスは単型のCettia属に分類されていましたが、これらの種を含むいくつかの属が一時的にCettia属に統合されました。しかし、その後の研究でウグイスとヨーロッパウグイスが別系統であることが判明し、ウグイスの多くがタイワンコウグイス（Horornis fortipes）を模式種とするHorornis属として分離されました。また、ヤブサメ属（Urosphena）も独立した属として認められました。コビトサザイモドキ（Hemitesia）は、以前は系統位置が不明確でしたが、ウグイス科に属することが確認され、キアシヤブサメ（Cettia pallidipes）の姉妹群としてヤブサメ属に含められました。

属と種

国際鳥類学会議（IOC）によると、ウグイス科には11属39種が含まれます。以下に主な属と種を挙げます。

マミジロムシクイ属（Abroscopus）
マミジロムシクイ（Abroscopus superciliaris）
コシジロムシクイ（Abroscopus albogularis）
カオグロムシクイ（Abroscopus schisticeps）
キバラサイホウチョウ属（Phyllergates）
キバラサイホウチョウ（Phyllergates cuculatus）
アカガシラサイホウチョウ（Phyllergates heterolaemus）
*ズアカムシクイ属（Tickellia）
ズアカムシクイ（Tickellia hodgsoni）
ウグイス属（Horornis）
フィリピンウグイス（Horornis seebohmi）
ウグイス（Horornis diphone）
チョウセンウグイス（Horornis borealis）
ナンヨウウグイス（Horornis annae）
タニンバルウグイス（Horornis carolinae）
サンクリストバルウグイス（Horornis parens）
ブーゲンビルウグイス（Horornis haddeni）
フイジームシクイ（Horornis ruficapilla）
タイワンコウグイス（Horornis fortipes）
ヒュームウグイス（Horornis brunnescens）
ミヤマウグイス（Horornis acanthizoides）
スンダウグイス（Horornis vulcanius）
キバラウグイス（Horornis flavolivaceus）
コビトサザイ属（Tesia）
キマユコビトサザイ（Tesia cyaniventer）
クロハラコビトサザイ（Tesia olivea）
ルセットコビトサザイ（Tesia everetti）
ズグロコビトサザイ（Tesia superciliaris）
*ウグイス属(Cettia)
ヨーロッパ[ウグイス]
チャガシラ[ウグイス]
チャガシラコ[ウグイス]
クリガシラコビトサザイ(Cettia castaneocoronata)
*ヤブサメ属（Urosphena）
ヤブサメ（Urosphena squameiceps）
ボルネオヤブサメ（Urosphena whiteheadi）
チモールヤブサメ（Urosphena subulata）
キアシヤブサメ（Urosphena pallidipes）
コビトサザイモドキ(Urosphena neumanni)

かつての分類体系

シブリーとアールキストによる分類体系では、ウグイス科はチメドリ科（およびダルマエナガ科）を合わせた大きなグループとされていました。彼らはこのグループを単系統とみなしましたが、実際にはウグイス上科の各所に分散した多系統であり、現在の分類体系では多くの科に分割されています。

シブリーとアールキストの分類では、ウグイス科は4亜科に分けられ、チメドリ亜科はさらに3族に分けられました。おおよそ、ヨシキリ亜科が従来のウグイス科、チメドリ亜科が従来のチメドリ科に相当します。オオセッカ亜科とガビチョウ亜科も独立させられましたが、これは現在の系統分類とは異なります。ズグロムシクイ属がチメドリ亜科に含まれる点は、以前から系統を反映していました。

現在、科未定とされている種には、以下のようなものがあります。

スナチムシクイ（Scotocerca inquieta）
サザナミムシクイ（Graueria vittata）
ヒメヒタキ属（Erythrocercus）
キイロヒメヒタキ（Erythrocercus holochlorus）
クリガシラヒメヒタキ（Erythrocercus mccallii）
アカオヒメヒタキ（Erythrocercus livingstonei）
コバシミドリムシクイ（Hylia prasina）
カラハタオリ（Pholidornis rushiae）

参考文献

国際鳥類学会議（IOC World Bird List）

外部リンク

IOC World Bird List 4.1 (Old World Warblers)（英語）

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